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ガルテンの挑戦 次の一手はICT誘致

 田辺市上秋津の体験型施設「秋津野ガルテン」が熱い。7月には日本経済新聞の「廃校の宿」のランキングで全国一となり、住民と連携した農業を生かした地域づくりでも評価を高めている。

 そこにまた一つ、先進的な取り組みが始まる。ICT(情報通信技術)関連事業者の誘致である。

 ICTは近年、有望な成長産業として位置付けられている。都市部に事務所を構えるだけでなく、地方にサテライトオフィスを設ける企業や事業所も増えており、各地で誘致活動が進んでいる。

 農村部や山間部への進出も進んでいる。よく知られるのは徳島県神山町。徳島市内から約30キロ離れた人口約5千人の町だが、首都圏から本社を移したり、サテライトを開設したりするほか、起業も加わって16社が活動している。町の産業観光課は「地域が元気づいている」と話す。

 和歌山県内では白浜町や和歌山市が誘致に力を入れている。とりわけ白浜町はリゾート観光とともに、空港があることによる都内からの便利さを強調。すでに都内などから9社が本社を移したり、サテライトを設けたりしている。

 地元農家の人たちによるガルテンの経営陣も、この成長産業に目を付けた。農村部への誘致は県内では初めてだが、県企業立地課は「上秋津は農村といっても市街地に近く、白浜にある空港もそう遠くはない。海外からの来訪者も増えており、魅力はある」とICT関連事業者の進出を期待する。

 ガルテンの狙いは、地域での雇用の場の確保と新たな交流人口の発掘。運営主体の農業法人「秋津野」の玉井常貴社長(74)は「若者の地域からの流出を防ぐには、雇用の場の確保が必要。今後の地域づくりのためにも新しい仕組みを取り入れたい」と話す。

 ガルテンは、新築移転で使われなくなった木造校舎を生かし、都市と農村の交流を目的に2008年に開業した体験型施設。宿泊棟のほかに、地元の野菜やかんきつをメニューに出す農家レストランやイベントなどに利用できる体験棟がある。

 宿泊、飲食、体験のそれぞれが好調で、ここ数年、海外からの来訪者も増えている。それに連れて各地の「地域おこし団体」の視察が増え、韓国を中心に海外からの視察団も相次いでいる。

 こうした状況に手応えを得て、さらなる発展を見据えて繰り出したのがICTの誘致と、今後増加が期待できるインバウンド(訪日外国人旅行客)やスポーツ合宿誘致のための宿泊施設の増築。「少しでも地域が元気なうちに取り組みたかった」と玉井社長。

 人口減で地方の活力は低下している。とりわけ農山村地域でその傾向が著しい。そうした中、ミカンの栽培など農業経営とガルテンの活動を組み合わせて地域を元気にしているのが田辺市上秋津。彼らに地域づくりの先導者としての役割を期待する。同時に他の地域もまた、それを参考にして地域づくりに励んでもらいたい。 (Y)


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