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転換期の水道事業 目の前の課題に向き合おう

 白浜町が上水道の料金を引き上げる方針を明らかにした。各種団体の代表ら8人を委員とする審議会で、引き上げ率や時期などを検討するという。9月末には1回目の会合があった。

 水質の良さに加え、宿泊施設など「大口利用」が多いこともあって、町の水道料金は10立方メートル当たり626円。県内では突出して安く、県平均の半分以下。全国平均の1547円と比べても4割ほどの負担で済む。消費税の増税時を除けば、1981年以来、一度も値上げをしていない。

 町によると、10年前と比べて給水人口は1割弱に当たる約1700人が減り、田辺市への供給分を除いた収益は7400万円ほど少なくなった。2010年度からは給水原価が供給単価を上回り、年々その差が開いている。

 一方、今後は施設の更新に多額の費用が必要になるという。例えば、施設(資産)の6割余りを占める管路の総延長は約270キロだが、このうち約86キロが耐用年数の40年を過ぎている。

 こうした現状を考えれば、町が料金の引き上げを検討すること自体は理解できる。問題は、それをどう利用者に説明し、協力してもらうかである。現状や将来の見通しを丁寧に説明することから始めなければならない。

 白浜町に限らず、暮らしに欠かせない水道事業はいま、大きな転換期に差し掛かっている。高度経済成長期を中心に整備された施設の更新時期が到来し、一方で給水人口が減少しているためだ。

 厚生労働省によると、全国で使われる水量は2000年を境に減少へ転じた。60年にはピーク時の6割ほどになり、その後もさらに減っていくと推計されている。

 利用者が少なくなれば給水量が減り、収益も落ちる。当然、施設の維持や改善に向けられる費用は少なくなるが、そんな事情にかまわず、施設の老朽化は進んでいく。それでも、命の水は守り続けなければならない。

 防災の視点も大切だ。大地震による被害が想定されている紀南では、なおさらである。今年の西日本豪雨や北海道での地震で、被災地で断水が発生したことは人ごとではない。

 こうしたことから各自治体は基幹管路を順次、耐震性能を持つものに更新している。だが、田辺市や白浜町での歩みは道半ばで、16年度末時点の「更新済み」は全体の4割に満たないという。

 公営企業の経営を考える総務省の研究会は、水道事業を取り巻く環境の変化を前提に抜本的な改革の必要性を指摘。地域の実情に応じて事業の縮小、経営の広域化、民間委託などを検討すべきだとする報告をまとめている。

 こうした課題に、経営者である各自治体はどのような手を打つのか。総務省の研究会がうたうような「改革」とも真剣に向き合い、対策を講じなければならない。

 住民もまた、わがこととして考える必要がある。水道は命の水であり、暮らしに直結する。(N)

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