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津波の日 高校生サミット 和歌山を防災教育先進地に

 日本を含む世界48カ国の高校生約380人が集まり、人々をいかに災害から守るかを話し合う「世界津波の日 高校生サミット」が和歌山市で開かれた。「世界津波の日」(11月5日)発祥の地で議論したことを持ち帰り、将来の防災リーダーとして、世界中で防災意識を喚起させてほしい。

 広川町には江戸末期の安政南海地震の際、浜口梧陵が稲むらに火を放って、村人を津波から避難させた「稲むらの火」の故事が伝わる。梧陵は震災の後、私財を投じて防災堤防を造営。その工事に村人を従事させることで地域を復興させ、防災機能を強化した。「世界津波の日」は、この梧陵の功績や精神を世界に伝え、防災意識を向上させようと国連が制定した。

 高校生サミットはこれを契機に2016年に始まり、今回、県内で初開催された。総会では高校生議長が「稲むらの火継承宣言」を発表。「稲むらの火の精神を広げ、周りの人と共有してほしい。地震や津波に備えて互いに助け合いましょう」と呼び掛けた。

 分科会では、防災力を高めるための具体的な話し合いがあった。「防災情報を発信する世界的ウェブサイトを作ればどうか」「会員制交流サイト(SNS)で防災に関する動画を配信」などインターネットを活用した啓発を提案。「高校生が防災クラブをつくって活動する」「防災を必須科目に」など、防災教育を強化すべきだといった意見も出た。

 防災教育といえば、18年も続けている田辺市新庄中学校の「新庄地震学」が思い浮かぶ。3年生が国語や社会など各教科と結び付けて学んでおり、例えば、外国語では英語の防災パンフレットを作ったり、音楽では防災ダンスを考案したりしている。成果は毎年11月に校内で開く発表会で、地域住民に披露している。

 地域の避難所情報や地震学の活動内容などを掲載したカレンダーも作り、住民に配布している。3年生だけではない。1年生は地域のことを勉強し、2年生は「防災劇」を演じて関心を高めるなど、地震学への準備を段階的に進める仕組みを作っている。

 他の学校も防災教育に取り組んでいる。県教育委員会によると、県内全ての学校が年間計画を策定。炊き出し訓練や避難訓練、講演会など内容は学校が独自に企画するが、県教委も小中学校で活用できる防災の手引を作り、講師として専門家を派遣することも支援している。

 それでも学校や地域によって、その取り組みの温度は異なる。海沿いと山間部では保護者の意識も違うから、学校ごとに取り組みの内容が異なるのは無理もない。

 しかし災害は津波だけではない。どこでどんな災害が起こるか分からないところに防災教育の難しさがある。

 だからこそ、県教委はより防災教育を充実させてほしい。住民との連携も強化したい。先進的な地域、学校に学び、県全体で防災教育に努めてもらいたい。 (K)


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