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紀南の平成世代 新時代に羽ばたけ

 平成が終わるまで100日を切った。その先にはかつてない人口減少社会が待っている。例えば、みなべ町からすさみ町までの広域圏人口は2015年の国勢調査では約12万8千人。それが60年には7万人を切ると予測されている。

 ここまで人口減少が進めばどうなるのか。労働力不足が深刻化する。農地や山林も荒れる。空き家も増える。まちの機能が維持できなくなる。手をこまねいていては、そう遠くない未来にそんな社会が到来する。

 年明けからの連載「紀南に生きる」では、そうした危機感を共有し、未来を開こうと立ち上がった若者たちを紹介した。共通するのは地域のファンであり、地域の課題を自分の問題と捉えている点だ。すでに中心市街地には若者が新風を吹き込んでいる。

 和田真奈美さん(25)は、空き店舗が目立っていた田辺市の駅前商店街に新規出店を呼び込んだ仕掛け人の一人だ。企画から携わった空き店舗の活用イベントが大盛況となり、新たな人の流れを生むきっかけとなった。

 浅賀由貴乃さん(27)は空き店舗を再生してパン店をオープンした。農家や地域の飲食店と開発した「地域コラボぱん」を通じ、地域の魅力を発信。得意の英語を生かし、急増している外国人観光客も取り込んでいる。

 更井亮介さん(29)は空き家を再生したカフェバーのシェフ。地元野菜やジビエを使った料理を提供。ジビエを通じ、野生鳥獣による農作物被害の現状、食物の大切さを伝える活動もしている。

 人手不足が顕著な農業も若者に人気の職業になるかもしれない。小向秀樹さん(27)ら若手農家グループは、梅農家の「助っ人」に引っ張りだこ。耕作放棄地の再生にも取り組み、新たな農業スタイルを確立しようとしている。

 中小企業では、業績が良くても後継者がおらず、廃業する例は少なくない。そんな中、三宅良典さん(26)は祖父が創業した会社で、工場長を務める。製造工程の効率化を図るなど早くも存在感を発揮している。

 少子高齢化が進む中、移住者や地域外の人材も地域づくりの重要な担い手である。

 岩倉昂史さん(25)は京都府から古座川町に移住し、PR戦略などを手掛ける会社を立ち上げた。これまで地方に不足していた分野で、新しい人材が地域の魅力を輝かせる好例となっている。

 地方に関心があっても、すぐに移住するのは難しい。田辺市本宮町で食堂を運営している森岡雅勝さん(26)は、大学時代にゼミで本宮町をたびたび訪れたことがきっかけで移住した。こうした定期的な取り組みを通じて地方との関わりを段階的に深める「関係人口」づくりも地域の担い手を増やすのに有効である。

 不安や不満を言い募るだけではなく、地域再生の旗を掲げ、まずは行動してみよう。自分たちの力で地域を変えよう。若者たちの奮闘がそう訴えかけている。 (K)


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