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県当初予算案 課題克服し力強い発展を

 県は総額5531億円に上る2019年度一般会計当初予算案を発表した。規模は4年連続で縮小しているが、仁坂吉伸知事は今回の予算編成について「課題に挑戦し続け、県の潜在力を解き放ち、力強い発展が実現するように政策を整えた」と力を込めた。

 19年度の新政策には、串本町への誘致を目指す小型ロケット射場の事業者への融資▽白浜町などへのICTオフィス整備推進▽カジノを含む統合型リゾート施設誘致▽和歌山市に21年度開設予定の県立医大薬学部の設置―など、企業や人を呼び込んで、発展につなげようとする事業が目立つ。

 しかし、前途には人口減少とその前提となる若者流出、少子高齢化という課題が横たわっている。県人口は何も対策を講じなければ26年に85万9千人程度になると推計されている。それを踏まえて17年度に策定した県長期総合計画(26年度まで10年間)では、さまざまな対策を実施し、89万4千人程度を確保するとしている。

 だが、昨年10月の人口は93万4千人。前年より1万人減り、8年後に確保したい人口まで、あと4万人に迫っている。しかも、年間の減少幅は毎年、拡大している。高齢化率も昨年1月現在で31・5%まで進んでいる。

 人口減や少子高齢化は財政にも影響する。予算案によると、介護保険は前年度比6億円増の147億円、後期高齢者医療費は2億円増の134億円となる。逆に個人県民税は高齢化による高額所得者の退職などで4億円減となる。

 県の借金に当たる県債発行額は、前年度より41億円増えて737億円。将来世代と負担を分け合う考え方から、県立医大薬学部の設置や海草振興局建設部の移転などの事業費を県債で賄うことが主な要因だ。こうした事業も重なって県債残高は毎年右肩上がりに増加しており、19年度末では1兆595億円の見込み。県民1人当たりにすると109万円にもなる。

 貯金に当たる基金はどうか。歳入が9億円不足するため、それを財政調整基金から補う。4年ぶりに取り崩した前年度より1億円低く抑えたこともあり、財調・県債管理基金の残高合計は行財政プランの想定を14億円上回る210億円となった。しかし、収支不足は2年連続で、来年度以降も取り崩しが続くと想定される。

 労働力人口の減少や少子高齢化が進む時代に対応して、事業の無駄を省き、費用対効果を吟味する必要がある。同時に、山積する課題の解消や力強い発展を目指す事業にも力を入れたい。双方を両立させるためには、知事や議会のバランス感覚が求められる。

 高齢化や人口減の速度は想像以上に早い。今回の予算編成を機会に、その解決案を県民から募ってみてはどうか。専門家には思いつかない発想で、思いもよらなかったアイデアが出てくるかもしれない。それを生かしていけば、同様の悩みを抱える全国の地方自治体のモデルになれる。知恵を集めてみる値打ちはあるだろう。(K)


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