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大地震への備え 広域災害想定し救援策見直せ

 中国・四川大地震が発生して2週間。死者は6万2664人、行方不明者は2万3775人(25日、中国政府発表)に上るという。孤立した村に十分な救援の手は届かず、避難所ができても救援物資が行きわたらない。土砂が川をせき止めて造ったダムの決壊や感染症拡大の恐れも続いている。

 想像を絶する被害である。けれどもそれは、近い将来、必ず東南海・南海地震に見舞われると予測されているわれわれにとって、決して人ごとではない。

 日本の災害援助システムは通常、県単位の被災を対象に、ブロック単位で活動することを前提にしている。2007年の新潟中越沖地震では、近畿地区2府7県で構成するブロック知事会の幹事が被災地の求めに応じて、構成府県に協力を要請。県も職員や保健師を現地に派遣した。

 東南海・南海地震、東海地震に対しては、それぞれ中央防災会議が応急対策活動要領を作成。和歌山を含む被災地への応援部隊の派遣人数や緊急輸送物資の数量、ルートなどの計画をまとめている。

 しかし、東海と東南海・南海地震が同時発生した場合は、どうするか。マグニチュードは四川を上回る8・7、神奈川県から宮崎県までの範囲で震度6以上、死者数2万4000人以上、全壊建物90万棟以上という被害が想定されているのに、いまだに具体的な計画は立てられていない。

 3つの地震が連動して発生した例は過去にもある。東海地震が150年以上発生していない現状から、その危険性を指摘する専門家は多い。東南海・南海地震の対策はあっても、支援をあてにしていた地域が東海地震で被災しては、構想は根幹から崩れてしまう。

 仁坂吉伸知事は「現状では助ける側と助けられる側が重複してしまう恐れがある。広域で災害が発生することを前提に、日本全体の視野で見直さないといけない。国に問題提起したい」という。

 そもそも東南海・南海地震の応急対策自体が机上の論である。県には警察、消防、自衛隊合わせて1万1290人の応援部隊、食料約410万食などが届く計画になっているが、輸送ルートの被害は想定しておらず、物資がどのくらいの期間で届くのかも未知数だ。

 県は「最低3日程度持ちこたえる食料の備蓄」「迅速に避難するため住宅耐震の推進」を呼び掛けている。

 しかし、県内の防災態勢は万全というにはほど遠い。公立小中学校の耐震化率は6割に達したばかり。紀南の幹線道路は海岸沿いを走る国道42号だけで、津波や地震で寸断される恐れがある。避難する場所も救援物資を運ぶ手段も未知数では、被災者の動揺は広がるばかりだろう。

 四川大地震を受け、政府は学校施設の耐震化を促進するため、補助率の引き上げの検討などを始めた。県は「防災対策には多額の費用がかかる。国が防災に力点を置いた方針を示さないと進まない」と指摘する。

 最悪の事態が予想される大規模地震の発生に備え、実効のある対策を進めなければならない。そのためには大きな被害が予測される和歌山県など、地方が声を上げ、国を動かさなければならない。時間は限られている。(K)


(2008年05月27日更新)

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