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トルコ軍艦遭難で義援金 山田寅次郎の伝記出版

 1890年に和歌山県串本町樫野埼沖でトルコ軍艦エルトゥールル号が遭難した後、義援金を募ってトルコに届けた山田寅次郎(1866〜1957)の伝記が出版された。著者は孫の和多利月子さんで、祖父の生涯を描く中で、研究によりこれまでの定説を覆す新説や、未公開資料を多数紹介している。

 山田寅次郎は民間の立場でありながら、率先して演説会や演芸会などを催して、エ号の義援金募集活動を展開。トルコに届け、その後は民間外交官として活躍し、日本とトルコの友好の礎を築いた。若いころから薬学や語学、政治、文筆、編集などいろいろな可能性に挑戦。トルコ(オスマン帝国)の皇帝に日本文化を紹介するなどし、現地に長年滞在した。日本初のシガレットペーパー製造会社をつくるなど実業家としても活躍し、晩年には茶道宗へん流家元を継いで、流儀の革新に尽力した。

 伝記のタイトルは「明治の男子は、星の数ほど夢を見た。―オスマン帝国皇帝のアートディレクター山田寅次郎」(産学社、325ページ)。私設のワタリウム美術館(東京都)に勤める和多利さんは2015年、山田寅次郎研究会を立ち上げており、伝記にはその研究成果を収録している他、和多利さんが祖父の足跡を追いながら、その等身大の姿を描いている。


【山田寅次郎の伝記を持つ産学社編集部の末澤寧史さん(和歌山県串本町串本で)】

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