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小学生が「虫の忍者」見つける カワラバッタ富田川流域で初記録、和歌山県の準絶滅危惧

赤嶋杏亮君が発見したカワラバッタの標本
赤嶋杏亮君が発見したカワラバッタの標本
 和歌山県田辺市会津小学校4年の赤嶋杏亮君が、富田川の河原でカワラバッタを発見した。体色は河原の石のような灰色で、見つけるのが難しい「虫の忍者」。2022年版の県レッドデータブックで準絶滅危惧に選定されており、富田川流域では初めての記録という。

 県立自然博物館(海南市)によると、カワラバッタが生息するのは、握りこぶし大の石が多く転がっている河川中流域の河原。周囲の色に溶け込むため、静止している個体の発見は難しい。人間が近づくと地表近くをわずかな時間飛ぶため、採集には目で追って着地点を見極める必要がある。

 赤嶋君は昨年10月に昆虫採集に出かけた河原で、バッタが飛んだのに反応。一瞬だったが、透き通った青色の羽を見て図鑑で見たことのあるカワラバッタと気付き、急いで捕まえた。準絶滅危惧で、県内では紀ノ川と熊野川流域でしか記録がないことから、自然博物館に標本を寄贈した。

 自然博物館の松野茂富学芸員は「富田川のスポットは以前から注目していたが、発見できずにいた。小学生に先を越された」と脱帽。「生息に適した河原は狭い上、水害や人間の開発などで生息環境が悪化している可能性がある。今回の発見で未発見の生息地があるような気がしてきた」と期待を込めた。発見は博物館の広報誌でも紹介している。

 赤嶋君は1年生の頃から、虫の採集に夢中。休日のたびに虫捕り網を手に、公園や河原に出かけ、チョウやトンボを捕まえては標本にしている。標本作りはインターネットや本で独学した。「夏休みも採集に打ち込む。まだ見たことのない虫を捕まえたい。いつか誰も知らない新種を発見したい」と話している。

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