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検討委「昭和の掘り方」と批判 和歌山・八郎山トンネル施工不良、測量データもなく

施工不良の対策について検討するため設置された八郎山トンネル技術検討委員会(和歌山県串本町で)
施工不良の対策について検討するため設置された八郎山トンネル技術検討委員会(和歌山県串本町で)
 和歌山県の串本町と那智勝浦町を結ぶ県道長井古座線「八郎山トンネル」(711メートル)で施工不良が見つかった問題で、県は8日、原因究明や対策工法を立案するための専門家による技術検討委員会を立ち上げ、現場確認後、串本町内で第1回の会議を開いた。会議後の記者会見では「掘削時の測量データもほとんど残っていない。これだけ現場管理がされていないことは遺憾」と、改めてずさんな工事の実態について説明があり、県は「一刻も早く対策を固めて見通しを出したい」とした。

 トンネルは昨年9月に完成し、今年12月の供用開始を予定していたが、別に発注していた照明の整備工事の際、トンネル内壁(覆工コンクリート)に空洞があると報告があった。調べたところ、覆工コンクリート背面に空洞があることやコンクリートの必要な厚さが全体の7~8割で不足していることが分かった。

 県は7月、請負業者の淺川組(和歌山市)と堀組(田辺市)を6カ月の入札資格停止処分に、加えて、8月には覆工コンクリートを施工した一次下請けの川合組(新宮市)を3カ月の入札参加資格停止とした。技術検討委員会で詳しい原因究明と対策工法を決め、業者の費用負担で補修工事をする考え。

 委員会の委員は、大西有三・京都大学名誉教授(委員長)、砂金伸治・東京都立大学都市環境学部教授、日下敦・国立研究開発法人土木研究所上席研究員、中本純次・和歌山工業高等専門学校名誉教授の4人。この日は午前中に委員らが現地を見た上で、午後から会議を開いた。

 冒頭のあいさつで、大西委員長は「専門の委員が集まっているので、良いアイデアを出して地元の方々に早急に使っていただく形で結論を出したい。ご協力をお願いしたい」と述べた。その後、会議は非公開で行われ、終了後、記者会見があった。

 大西委員長は現在、測量のやり直しや覆工コンクリート内部の状態や厚さなど、さまざまな調査が進行中であることに触れながら「現代のトンネル工学の基本のやり方を踏襲していない。感覚的には昭和30年代のトンネルの掘り方。写真測量やレーザースキャナーなど最新の機器も十分活用されていない。残念だ」と指摘。県土整備部の福本仁志部長も、掘削時の測量結果のデータも現場のメモなど記録が残っていないため苦慮していることを説明した。

 福本部長は「今日の段階では、どこまでやり直しをしないといけないか、供用がいつになるか分からない状況。大変申し訳ない。一刻も早く安全な形で供用できるように対策を定めて工事を進めたい」と語った。

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