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備長炭発祥の地で製炭体験を 花王が工場敷地で伐採したウバメガシ提供、和歌山・田辺市

紀州備長炭の窯出しを体験する花王和歌山工場の職員親子(和歌山県田辺市秋津川で)
紀州備長炭の窯出しを体験する花王和歌山工場の職員親子(和歌山県田辺市秋津川で)
 和歌山県田辺市秋津川の紀州備長炭記念公園を管理する秋津川振興会は、和歌山市の花王和歌山工場内で伐採したウバメガシを紀州備長炭の窯出し体験に活用するプロジェクトを立ち上げた。振興会は「自然と人の営みが生み出す炭は、循環型社会のお手本。この機により多くの人に備長炭に触れてもらいたい」と話している。


 花王で最大規模の施設である和歌山工場は敷地面積約50ヘクタール。うち10ヘクタールがクロマツやウバメガシなど多様な樹種を植栽する緑地帯で、環境省の自然共生サイトの認定を受けている。里山的管理を目指しており、ウバメガシを計画的に伐採し、備長炭として活用できないか田辺市に相談した。

 同公園の体験窯は小中学生の郷土教育や環境教育に活用している。備長炭作りは製炭士が山からウバメガシを伐採することから始まる。製炭士が使う窯には原木3~4トンが必要な上、窯出し体験のたびに別に1トンを確保する必要があった。今後、体験用の原木は花王が伐採から搬入までを担うため、負担が軽減する。

 伐採から窯出しまでの流れを試験するため、11日に花王和歌山工場職員約40人が窯出しを体験した。今回使用したウバメガシは花王で10月中旬に伐採したもので、26日に公園に搬入した後、製炭士が準備をして、31日に体験窯に火を入れていた。

 花王の木村陽介さん(40)はイベントでもらったウバメガシの苗木を自宅で育てており、成長した木がどのように活用されているか子どもに見せたいと参加した。木村さんと一緒に「エブリ」と呼ばれる長い棒で炭を取り出した長男の陽一君(5)は「真っ赤でとても熱かったけど、上手にできた」と笑顔を見せた。

 窯出し体験の後は、備長炭での風鈴作りやバーベキューを楽しんだ。

 和歌山工場地区サービスセンターの飯塚直樹課長(56)は「持続可能な会社運営を目指しており、工場内の木の伐採も、用材に適した木を選んで切る択伐のような方法で、里山のような管理をしたいと考えていた。備長炭発祥の地で活用してもらえるのはありがたい」と話した。

 振興会の北川弘泰会長も「地域学習や都市部からの修学旅行の受け入れに活用したい。体験を通じ、より多くの人に備長炭の魅力を知ってもらえればうれしい」と期待している。

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