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《6》バルセロナのバールで

 目覚めると曇り空。車窓から望む地中海も台無しと、バルセロナ泊を決める。木賃宿とは今日でおさらば、まずは向かいのホテルに引っ越し。

 2階建てのオープンバスに乗ってみる。高いチケットに懐を痛め乗り込んだそれは、恐ろしく退屈。高みの見物で街を見回しても、どこかTVを見ているよう。地下鉄で旧市街に帰る。たとえ良い景色が見えなくても、暮らしの近くに居る方が旅は楽しい。

 昨夜、友人に連れられたバール(大衆飲み屋)まで迷路のような路地を進む。私は至らない語学力と金銭力を、方向感覚でカバーしつつ旅を続けている。路地の先、たどり着いたうれしさに任せ飛び込んだ店内は、日暮れ前にもかかわらずほぼ満席だった。店の女性が「また来たね」と言うような笑顔で、立ち飲みカウンター奥に私を招き入れ「昨日と同じの?」。

 なみなみと注がれたシャンパニュトは、この店のオリジナル酒。それはスペインでよく飲まれるカバという発泡ワインですらなく、白ワインを炭酸水で割った日本のホッピーまがいの代物。これが、とてもおいしい。私は注がれるままに泡酒を飲み、カウンターに並ぶピンチョ(小皿の突き出し)を片っ端から試していった。

 食後、彼女が「アレはいるか?」と聞いてきた。エスプレッソでも出るのだろうと待っているとカウンター奥よりおじさんが差し出したのは濃い食後酒とお菓子だった。「浸しながら食べてね」ジェスチャーでおじさん、にっこり。

 一度会ったら友達、二度目は親友。いつか聞いたスペイン人の話は本当だった。感心しつつ旧市街の路地を、ホテルまでそぞろ歩く。


【スペインの街は至る所に椰子が茂り、開放的】

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