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(383)師匠逝く

 11年前、三重県鳥羽市からすさみ町へ移り住んだ時から何くれと目をかけてくれ、わたしが『師匠』と呼んではばからなかったR老(…なんて言ったらわしは老人じゃない!としかられそうだ)が、先日病没した。

 「わしの親せき同然の者や。よろしく頼むでノイ」

 縁もゆかりもないすさみで、こう言って紹介して歩いてくれたおかげで、どれだけ早く地域に溶け込むことができたか。

 「あんたRちゃんの何や」「ハア、まあ師匠と弟子みたいなもので…」

 初対面の人でも師匠の名前を出すとすぐに打ち解けてくれるのには驚いた。

 「ウナギかごを貸してやるから仕掛けてみ」「タナサエビ(テナガエビのこと)捕るんなら懐中電灯よりカンテラの方が目がよく光るから持ってけ」「ズガニ(モクズガニ)を捕るのに、そんな場所にかごを入れるやつがあるか」

 わたしのすさみでのワイルドライフ?はすべて師匠直伝だ。わが家の敷地に沿って流れる江須の川の四季を通じての楽しみ方は、その都度手取り足取り教えられた。もう自分では使わないからと師匠愛用の川用の刺し網やウナギかご、カニかごからチェーンソーまでもらってしまった。女房は女房で、庭木や家庭菜園の手入れの仕方、野草の食べ方からすさみの風習などさまざまな生活の知恵を仕込まれ、今では立派なすさみのオバちゃんだ。

 まだまだ教わらなければならないことはたくさんあったのだが、残念ながら体調を崩されてからは外に出ることも少なくなり、とうとう永遠に会えなくなってしまった。しかし、わたしは師匠から受け継いだすさみの自然との付き合い方を、機会を見つけて次の世代に伝えていくことが、師匠への一番の供養だと思っている。合掌!。

 (すさみ町立エビとカニの水族館長)

写真師匠から譲り受けた川用の網(すさみ町江住で)

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