AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

(384)我輩は野良猫である

 我輩は野良猫である。ご覧の通りの姿だから、一般にはトラ猫と呼ばれている、ごく普通の雄猫で、名前は「こにゃ」という。名付け親はエビとカニの水族館のスタッフだが、どうやら鳴き声がニャーではなくコニャッと聞こえるかららしい。しかし、館長は「困ったニャンコ」の略だ…とひどいことをいう。

 知っての通り、エビとカニの水族館のある日本童謡の園公園は捨て猫が多い。町の人にとっても公園を訪れる人にとっても実に迷惑な話なのだが、水族館の周辺だけにせよ、ふんの始末までしなければならない水族館スタッフならなおさらだ。

 我輩も元の飼い主がいまだに現れないところをみると捨てられたらしいのだが、いまさら恨みごとは言うまい。しかし、人一倍、いや猫一倍人恋しがりやの我輩ゆえ、どうも野良猫の仲間に入って暮らすのは性に合わない。

 そこでついつい水族館の裏手へやって来ては、スタッフにスリスリと擦り寄り、ゴロニャンと甘えた声を出して身過ぎ世過ぎに精を出しているというわけだ。

 ところで最近、とっても居心地のいい場所を見つけた。館長の愛車のバックドアにくっついている太いスペアタイヤの上が我輩のお気に入りだ。なにしろワイドタイヤだから我輩が昼寝をするくらいのスペースは十分あるし、昼間、太陽熱で温まるとポカポカとまるで岩盤浴をしているみたいだ。おまけにつめを研ぐにも適度な引っ掛かり(これをタイヤの山というそうな)があるので実に気持ち良く研げる。もっとも、館長はスペアタイヤが傷だらけになると悲鳴を挙げている。まあこの辺が「困ったニャンコ」イコール「こにゃ」だと言われるゆえんだろう。

 どうか皆さま、猫を捨てて我輩のような仲間を増やさないでやっていただきたい。世間の荒波をくぐるのはなかなか大変なんですぞ。

(すさみ町立エビとカニの水族館長)

写真スペアタイヤの上に居座る「こにゃ」(すさみ町江住で)

更新)