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(387)自閉扉

 「エビとカニの水族館は今日お休みですか?」「いいえ、うちは年中無休ですけど」「さっき行ったんですけど扉が閉まってたんですが」「変ですねえ。ちゃんと9時から開館してますよ」

 エビとカニの水族館には、時々こんな電話が掛かることがある。ご承知のように当館は年中無休が売り。せっかく遠くからすさみへ来たのに休館日だった…てなことがないよう、オープン時からのわたしのこだわりで、台風で暴風雨警報が出た時以外は365日休まず開館しているのだから、扉がしまっているはずはない。待てよ?ひょっとしたら…。

 「あのー、扉はどうやって開けられましたか?」「どうやってって、いくら引っ張っても押しても開かなかったわよ」

 やっぱりそうだった。

 「お客さま、うちの水族館の扉は引き戸ですよ。ちゃんと横に引いて開けてくださいと表示してあったでしょう」「えっ」

 そうなのだ。エビとカニの水族館の入り口のガラス扉は観音開きではなく引き戸。そりゃあいくら引いても押しても開かないでしょうよ。実は観音開きだと思って一生懸命引っ張るお客さまは後を絶たず、何年か前に赤いカニのマークとともに「横に引いて開けてください。これは自動扉ではありません」というサインを出したのだが、一度思い込んで失敗すると、いくら大きな字で書いてあってもそんなサインなど目に入らないらしい。たまに自動扉だと思っていつまでも入り口に立ち尽くすお客さまもいる。

 「“自分で動かす”と書く自動扉ですけど、ひとりでに閉まるから自閉扉かな」

 片方の扉にロープを縛り付け、ペットボトルの重みで自動的に閉まるよう改造したので、これぞまさしく省エネ扉。くれぐれもお断りしておきます。エビとカニの水族館の入り口の扉は自動扉でも観音開きでもありませんよ。

 (すさみ町立エビとカニの水族館長)

写真観音開きなどに勘違いされやすい入り口扉(すさみ町江住で)

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