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(388)鹿身事故

 突然、目の前にシカが飛び出してきた。「危ないっ」対向車がなかったのでとっさにハンドルを右に切ったが、シカも左の道路脇から出て来たので勢いがついていた。

 ドンッ「やった」

 バックミラーをのぞくと、道端に後脚をピクピクと震わせながらシカが倒れているのが見える。

 先日、深夜の国道42号を串本方面から家路についていたわたしは、とうとう人身、いや「鹿身事故」を起こしてしまった。ガードレールの陰から車の直前に飛び出したシカを避けるすべもなく、哀れ昇天させてしまったのだ。

 車をUターンさせて反対車線の待避スペースに止め、前に回ってびっくり。ヘッドライトカバーがちょうどシカの頭の大きさに割れて大きな穴が開いているではないか。ぶつかったのがカーブを曲がりきったところでスピードが出ていなかったのと、シカがまだ若い雌で大きくなかったことが幸いし、車体がへこむなどのダメージはなかった。しかし、車検を済ませたばかりでこれは痛い。

 早速警察に連絡すると、まもなく赤色灯を付けてパトカーがやって来た。

 「最近シカとぶつかる事故が多いんですわ」 

 シカのために深夜でも出動しなければならぬお巡りさんには気の毒だったが、保険を申請するためにも事故調書は必要だ。

 「ところでこのシカ、食べちゃいけないんですか?」「猟期が終わっとるし、雌は獲ったらいけないことになってるんでね」「交通事故で死んだんだから、食べてやった方が供養になるのに」「駄目です」

 お巡りさんにしてみれば、わたしの顔はどう見ても“供養”になるから…なんて殊勝な心掛けを持っているようには見えていないのだろう。

 とにかくシカには気の毒だけど人身事故でなくてよかった。

 (すさみ町立エビとカニの水族館長)

写真著者の車と衝突した雌ジカ(すさみ町で)

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