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(481)マンボウ捕獲(後編)

 三重県尾鷲市の九鬼漁港から5匹のマンボウを乗せてひた走りに走ってきた活魚車が串本の大島漁港に到着した。

 残念ながらすさみ町内の各漁港は、スペースがなかったり、水深が浅かったりして、マンボウが飼える大型の畜養いけすを設置することができない。そこで、串本町大島で養殖業を営むTさんの好意に甘えて、空いていた養殖いけすを使わせてもらうことにしたのだ。

 ところで、活魚車といったってエビとカニの水族館にトラックなんぞあろうはずもなく、レンタカーの2トン車に大型の円形タンクを積み込んでブロアポンプで空気を送り込めるよう工夫した、水族館オリジナル?の即席活魚車だ。

 「1匹目、いくぞ!」

 円形タンクに専用担架?を突っ込んでマンボウをそっと乗せると、一気に引き上げた。そして皮膚がすれないよう、細心の注意を払って船に運ぶ。マンボウにダメージを与えないためには、とにかく時間との勝負だ。

 大島港沖に浮かぶ養殖いかだまでは船でわずか数分。いかだに横付けすると、早速いけすへ移してやる。幸い、パニックを起こして網に突っ込むようなのは1匹もおらず、心配しながら見守るわたしたちを尻目に、マンボウたちはゆっくりといけす内を泳ぎ始めた。これで第1関門?は突破だ。

 翌日からわたしたちの串本通いが始まった。まずは捕獲、運搬時にできた皮膚のすれや傷を治すこと、そして餌付けだ。マンボウは自然界ではクラゲなどを食べていることが分かっているが、餌付け用の餌は大きなむきエビ。揺れるいかだの枠に乗り、長いさおを操って先端に付けたエビをマンボウの口の前に持っていく。呼吸の水を吸い込むタイミングに合わせて放してやると、スポッとのみ込むという寸法だ。

 「今日は1匹だけ餌付きました」。まだまだ先は長い。

 (すさみ町立エビとカニの水族館長)

写真時間との勝負となるマンボウの移動(三重県で)

更新)