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(493)日本最大の移動水族館 その2

 「どうもマンボウのプールから水が漏れているみたいなんですが…」

 血の気が引くとはこういうことを言うのだろう。直径12メートル、水深2メートル、水量200トンもあるプールの底に近い吸水口の真下辺りから確かにじわりと水がにじみ出てきている。しかし、こんな大きいプールで水が漏れたら修理のしようがない。90センチ水槽の水漏れをシリコン樹脂で補修するのとは次元が違う話なのだ。

 「真下が電気の配線溝なので、絶対に水が流れ込んだらいけないんです」「まずプールの水を抜いてもらわないと何ともなりませんねえ」

 残念ながらこのプールだけはクレーンを使わないと大き過ぎて素人の手に余ると、組み立て、設置を専門業者に依頼したので、わたしたちの手に負えない。早速、業者を呼んだが、確かに水を抜かないで修理なんてできっこなさそうだ。

 「仕方がない。昼間はもちろんだけど、夜も交代で泊まり込んで漏れた水を吸い取ろう」てな訳で、予定になかった宿直を4日ごとにしなければならない羽目になったが、これが結構体にこたえる。

 朝から1日働いた後、いったんホテルに戻って夕食とシャワーを済ませ、あらためて出勤する。1時間半置きに漏れる個所に敷いてあったバスタオルを新しいものに交換し、水を吸ってずっしりと重くなったタオルを脱水機にかけて絞る。また、溝に流れ込んだ少量の水は強力なバキュームで吸い取り、これを一晩中繰り返す。当然眠ることはできないから、翌朝、出勤してきたほかのスタッフとともに開館準備をし、10時にやっとホテルへ戻って夕方まで寝るというハードな作業となった。

 幸い、スタッフの地道な努力が報われ、移動水族館は大成功。目標の動員数を大幅に突破し、早くも来年の第2回の開催が決定したほか、各地の同様の施設からの打診も相次いでいる。

(すさみ町立エビとカニの水族館長)

写真水漏れしたマンボウの大型プール(岡山市で)

更新)