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(713)アカグツを食べた!

 「うーん、まずくはないけどまた食べたいという味ではないな」

 先日、尾鷲の定置網で捕れたマンボウを受け取りに行って、一緒に入っていたアカグツを何匹かもらってきた。アカグツと言っても赤い靴のことではない。

 赤く平たい円盤のような体からハの字形に開いた足のような胸びれと尾が伸びた、フライパンを思わせるアンコウの仲間。水深60メートル以深の中深海の海底にすんでいる。あまり泳がない代わりに、時折、足のように変化したひれで歩いて!小型のエビやカニを食べる。

 ものの本によると“クツ”とはヒキガエルの古語なのだそうで、確かにアカグツの背中はとげのような突起に覆われているから、これをいぼいぼのヒキガエルの背中に見立てて、赤いヒキガエルのような魚と名付けたのだろう。

 「元気なのは展示して、ダメなヤツは食べてみよう」「アカグツなんて食えますかね」「料理してみなきゃ分からん。ま、無難なところで煮つけにしてみるわ」

 まずは包丁で真っ二つに切ろうと思ったが、全身が骨でできている?ような硬い体と背中一面の骨質の突起が包丁を受け付けてくれそうにない。そこで煮切った酒にしょうゆとみりんを入れて煮立たせてから、アカグツを丸ごと入れてみた。体が浸るくらいの煮汁に落としぶたをし、中火で煮ること10分。まずは分厚い皮が縮んでめくれ、白い身が見えてくる。しかし、身の部分は思いのほか、いやほぼ予想通りとても少なそうだ。

 「できたよ! アカグツの姿煮だ。見掛けは悪いけど、香りは悪くないぞ」

 目の後ろに背骨を挟んでわずかにある白い身をむしり、煮汁に浸して口に入れると…、ウーン、やはりアカグツは水族館で見て楽しむのが無難なようだ。

 (エビとカニの水族館館長)

写真この撮影の後、煮つけになったアカグツ(和歌山県すさみ町江住で)

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