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(715)サル知恵?

 「北斗、散歩に行くぞ!」

 いつものようにラブラドルレトリバー犬の北斗のリードを持って裏口の戸を開けた途端、庭のビワの木からサルの群れが一斉に逃げ出した。その数十数匹。「あっ、コラッ!」。逃げていく何匹かの手にはたった今もぎ取ったばかりのビワの実の房がしっかりと握られている。

 「北斗、ちょっと待ってろ!」。私は家の中にとって返すと、いつでも取り出せるように用意してあった鳥獣撃退用のピストルをつかんで庭に出た。

 「パン、パン、パン!」。サルに向けて引き金を引くと、子どものころよく遊んだ巻火薬式の連発拳銃よりはマシだが、いかにも頼りない破裂音が辺りに鳴り響く。「パン、パン、パン!」。瞬く間に撃ち尽くし、弾倉を交換して再び銃口を向けるが、サルの方は弾の飛んでこないピストルなんて痛くもかゆくもないってことは先刻ご承知。

 多少距離は取ったものの、手近な木やブロック塀に素早く上って高みの見物とシャレ込んでいるではないか。今年のビワは実が少ない分、大きく甘くなるだろうと楽しみにしていたのだが、よくよく見ると色づいた実はもうほとんど残っていない。

 「北斗っ! なんでほえないんだよ! 犬猿の仲だろうが!」

 まあ日頃から他の動物とは仲良くしろと教え込んでいる気のいいわが家のぼんぼん犬にサルを追っ払えと要求する方が間違っているのだが、昨年に続いて今年も自家栽培のビワが食べられないとなるとそう甘い顔もしていられない。

 あくる日の夕方、水族館から帰宅すると、ビワの木から全ての実が姿を消していた。昼間、女房が出掛けている隙に、またサルの群れがやって来て、まだ青い実まで食べてしまったようだ。もう、いやっ!

 (エビとカニの水族館館長)

写真高みの見物をするサルの群れ(和歌山県すさみ町江住で)

更新)