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(723)移動水族館の現場から〜台風〜

 「台風11号の影響で魚が届かないんですよ。余剰があったら分けてもらえませんか?」

 18日に開幕した鳥取県境港市の「ミクロネシアとサンゴ礁の水族館」。一昨年に引き続きエビとカニの水族館が開催する移動水族館で、毎回7、8万人の観客を動員するビッグイベントだが、今年はオープン前日に行われた開館式に鳥取県や境港市の関係者が多数出席し、その関心の高さがうかがわれた。しかし、今年の準備ほど気をもんだことはなかった。なにせ台風9号と11号が相次いで沖縄地方を襲ったため、いつも生物の調達を依頼している石垣島の海人(うみんちゅ)のグループもサンゴ礁での追い込み網漁が一度も行えなかった上、海に浮かべてあった魚をストックする浮いけすも高潮を避けて避難させた。おまけに飛行機もストップして、沖縄からの生物が一切届かないという事態に陥ってしまったのだ。

 しかし“台風のせいで移動水族館のオープンが間に合いません”では私のプライドが許さない。そこで日頃から親交のある水族館に片っ端から電話して余剰の生物を分けてもらう依頼をし、テーマに影響のない範囲での展示内容の変更も考えて、スタッフを走らせたのだ。境港から特急を乗り継いで静岡県の三島で生物を受け取り、そのままとんぼ返りをしたM君。強風による通行止めとどちらが早いか…とドキドキしながら瀬戸大橋を渡って四国まで車で受け取りに行ったY君。みんな必死だが、その緊迫感を楽しんでいる?風もある。

 幸い、四国に上陸して再び倉敷に再上陸した台風は、境港に到達するころにはすっかり衰え、生物もギリギリで間に合って、初日から例年を上回る入館者でにぎわって、主催の新聞社も大喜び。台風で不可抗力と逃げなかった私たちの姿勢があらためて評価されたようだ。

 (エビとカニの水族館館長)

写真【台風の影響を受けたが、スタッフの努力で初日に間に合わせた移動水族館(鳥取県境港市で)】

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