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(737)エビー・カニスマス裏話

 「今年の特集展示は新館に移転もしたことだし、思い切って新しい水槽を新調しよう」「よ、予算が…」「これでお客さまがどんどん来てくれればなんとかなるって!」

 クリスマスを控え、エビとカニの水族館恒例の季節の話題特集展示は、旧館時代より水槽を大きくしてボックスごと新しく作ることにした。

 「よーし! どうせなら派手にいこう! タイトルはメリークリスマスじゃなくて『エビー・カニスマス』でどうだ?」

 スタッフの“ああ、また館長の駄じゃれが…”という目を気にしていたらエビとカニの水族館の館長なんか務めていられない。とにかくタイトルさえ決めてしまえばこっちのもんだ!

 「で、エビとカニは何を入れるんですか?」「シロボシアカモエビとアカシマシラヒゲエビでいいな?カニはモクズショイに赤と白の毛糸くずをくっつけさせればいいだろう」

 間口120センチの水槽の中にはプラスチックのクリスマスツリーを立て、飾りはエビやカニたち。星の代わりはエビ網で捕れたばかりの小さなアミメジュズベリヒトデだ。

 中でもシロボシアカモエビは和名よりもホワイトソックスという英名の方がポピュラーな小形のエビで、真っ赤な体に脚の先だけがソックスを履いたように白い。アカシマシラヒゲエビも赤と白のストライプが鮮やかで、クリスマスにこれほど似合うエビはあるまい。

 一方、モクズショイはカムフラージュの海綿や藻のくずをきれいに取り去り、代わりに細かく切った赤と白の毛糸をほぐして付着させた。

 私は時間を見つけてはエビー・カニスマスの評判はどうかな?と、見回りを装ってさりげなく水槽の横で耳をそばだてている。

(エビとカニの水族館館長)

写真【新調して大きくなったクリスマス水槽(和歌山県すさみ町江住で)】

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