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(739)イナゴのつくだ煮

 「夜はお食事をご一緒しましょう。何がお好きですか?」

 来年夏、長野市で開催する移動水族館の打ち合わせのため、長野出張を決めたら先方からメールが届いた。

 「では蜂の子をぜひ」 蜂の子は高校生のころ、交流のあった長野県の松本深志高校の生物部員に教えられて食べたことがあったから抵抗はない。せっかく長野まで行くんだからぜひ郷土料理をとリクエストしたら、すぐに返事が返ってきた。「ではイナゴやザザ虫(カワゲラやトビケラの幼虫)など昆虫系でまとめましょう」

 ちょ、ちょっと待って! 別に昆虫でまとめてもらわなくてもいいから…。少し味見できたらいいんですよ!

 という訳で、長野に着いたその夜、信州地方の郷土料理専門のお店へ招待してもらった。

 「まずは森さんご希望の珍味3種盛りからいきましょう」

 三つに仕切られたお皿に少しずつ盛られていたのは蜂の子やイナゴ、ザザ虫をつくだ煮にしたもの。中でもリアルなのはイナゴのつくだ煮だった。

 「ボクは子どものころ、祖母に言われてよく田んぼへイナゴ捕りに行きましたよ。捕ってきたイナゴを1日置いてふんを出させてから湯通しし、フライパンでいってから甘辛く味を付けてつくだ煮にするんですけどね」

 記憶をたどると、確か一番大きな後脚だけは歯に障るからと、もいだような気がするのだが、この店のイナゴは全ての脚がそろっていて、虫嫌いの人にはちょっと抵抗がありそうな姿形だ。

 「おいしいですね! イナゴって歯応えのある小エビのつくだ煮みたいだ。ザザ虫は少しクセがあるかな」

 正直言ってうまい! 私にとっては懐かしい味でもある。翌日、私はデパ地下でイナゴのつくだ煮を買い求め、スタッフへの土産にした。

 (エビとカニの水族館館長)

写真【デパ地下で買ったイナゴのつくだ煮(和歌山県すさみ町江住で)】

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