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(742)お雑煮

 所帯持ちのスタッフの一人が「わが家のお雑煮です。食べてみてください」と言って正月に鍋を持ち込み、私たちスタッフ全員に振る舞ってくれた。薄切りにした大根、ニンジン、里芋が澄まし仕立てのだしに浮かび、丸餅の上に三つ葉を散らして、なかなかうまい。

 「これ、キミの実家の味?」「いいえ、ウチは白みそ仕立てだから、これは旦那さんの家の味」

 わが家は私も女房も三重県四日市市が実家だから、世間でよく言う味付けや具、丸餅か角餅かなどでもめる心配はなかったが、さまざまな資料によると、どうやら三重県北部や愛知県で食べられている雑煮が日本で一番シンプルな雑煮らしい。

 まずだしはかつお節で取った澄まし仕立て。味付けはしょうゆで、具はお正月シーズンだけ出回るもち菜と呼ばれる伝統野菜。もっとも、すさみでは手に入らないので、わが家では小松菜で代用している。そして餅は角餅で、焼かずにそのまま煮込み、軟らかくなったらわんに盛って食べる直前に削り節を散らす。私は小さいころからこの雑煮で育ってきたので、コレが普通だと思っていたが、歳を経てさまざまな雑煮に出合い、そのバリエーションの多さにびっくりしている。

 中でも印象に残っているのが若かりしころの一時期を過ごしたパラオの正月で、ナントぜんざいが雑煮の代わりだった。年末になるとコロール市内のスーパーには1キロ入りのゆで小豆の缶詰が山と積まれ、真空パックの餅が並んで、日本統治時代の名残を色濃く感じたものだ。

 ちなみに、私の雑煮の食べ方は一風変わっていて、餅を食べる際、バターをひとかけ載せて口に入れる。いわゆるバターしょうゆご飯?の餅バージョンで、女房は文句を言うのは諦めているが、これが意外にうまい。一度お試しあれ。

 (エビとカニの水族館館長)

写真【シンプルな森家の雑煮(和歌山県すさみ町江住で)】

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