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(743)ぎんなん

 女房がぎんなんを買ってきた。実は私はぎんなんに目がない。いってそのまま食べて良し、茶わん蒸しに入れて良し、最近はぎんなんを揚げてお菓子感覚でカリカリと食べられるものを見つけて悦に入っている。

 鳥羽に住んでいたころは、冬が近づくと鳥羽城跡に生えていたイチョウの木に実がなって落ち、外皮の放つ悪臭に辟易(へきえき)しながらもぎんなん欲しさによく拾いに行ったものだ。

 ところで、ぎんなんの製造元?であるイチョウは中国原産の原始的な落葉樹で“生きている化石”とも称されている。日本各地で栽培されており、雌雄異株なので晩秋から冬にかけて実をつけるのは雌株。

 一見したところいかにも食べられそうな実だが、熟して肉質化した外皮に含まれる酪酸とヘプタン酸が主成分の悪臭が鼻を突く。素手で触ると含まれているフェノール性物質でかぶれることもあるからゴム手袋は必需品だ。こうして拾ってきた実は水に浸して腐らせ、外皮を取り除いて初めておなじみの殻(外皮内層)に包まれたぎんなんになる。

 「これ、割ってくれる?」「よっしゃ!」

 いっている最中に殻が弾けないように、ヤットコのような形をした専用のぎんなんばさみで割れ目を入れる。最初のころは力余って殻ごと実までつぶしてしまうこともあったが、慣れてくると軽くはさみの柄を握るだけで小気味よくパチン!と割れるようになる。台所からぎんなん独特の香ばしい匂いが漂ってくるともう我慢ができない。アッチッチ!と言いながら焦げた殻を除いて口に入れるとぎんなんの独特の香りが広がった。

 ちなみに、ものの本によるとおいしいぎんなんも食べ過ぎると、ビタミンB6の働きを阻害する物質が含まれていて、食中毒症状を引き起こすことがあるとか。何事もほどほどがよろしいようで。

 (エビとカニの水族館館長)

写真【いって香ばしい匂いを放つぎんなん(和歌山県すさみ町江住で)】

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