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(744)隙間風

 「いやあ、まさかこんなに隙間風が入ってくるとは予想外だったなあ。やっぱり実際にその季節になってみないと分からないね」

 エビとカニの水族館の館内はとんでもなく寒い。と言っても観覧通路はエアコンでちょっと低めではあるが取りあえず暖房しているので、問題はバックヤードだ。

 もともと江住中学校の体育館を改装したのだから、建物全体の空調は最初から諦めていた。8月の準備中から9月のオープン直後あたりの猛暑もなんとか我慢できた。しかし、4カ所ある懸垂式の引き戸の隙間が予想以上に大きく、冬になってみると風向きによっては猛烈な寒風が吹き込んでくるのだ。当然水槽の水温は下がり、ヒーターを入れて対処することになるが、ヒーターで追っつかないのがヤシガニとオカガニ、オカヤドカリの水槽のある一画。気温の低下に伴って養生用の分厚いビニールシートでビニールハウスのように囲い、新たに購入した火事の心配のないヒーターと加湿器を設置してみたが、ビニールが薄過ぎて駄目だった。そこで今度は不便覚悟で4カ所の出入り口をビニールシートで覆い、さらに大きい遠赤外線ヒーターを買って交換してみたのだが、やはり完全に隙間風は防げず、ヤシガニを何匹か殺してしまった。

 「この時季、ヤシガニの補充はできんし、もう素人では手に負えん。プロに頼もう!」

 電話1本で飛んできてくれたのは、日頃から仮設プールなどの制作を依頼してコチラの事情をよく知っている田辺のテント屋さん。設置場所は配管や配線がめぐらされ、素人目にも細工がしにくそうだったが、各部を測って3日目には職人さんを引き連れ、その日のうちに分厚いビニールの温室を仕上げてくれた。

 「室温26度ありますよ」「これでなんとかヤシガニを寒さで殺さずに済むかな」

 もっと早く頼めばよかった!

 (エビとカニの水族館館長)

写真【ビニールで完全に覆われたヤシガニの飼育室(和歌山県すさみ町江住で)】

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