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(748)深川めし

 私が東京に出張すると、帰りの新幹線に乗る際に必ず買う駅弁がある。北海道・森駅のいかめしや富山のマスずしのように全国的に有名な…というにはチョイと及ばないが、数ある駅弁の中でも秀逸なものの一つではないかと思う。

 アサリを炊き込んだうま味たっぷりのしょうゆ味の飯。その一部分がノリで覆われ、甘辛いたれをまとった焼きアナゴが3切れ載って、覆われていない部分にはハゼの甘露煮が2匹並んでいる。また、香の物は厚く切ったべったら漬けとコナスのかす漬けで、東京下町の濃い味付けの口直しにはピッタリだ。さらに半分くらい飯を食べた時点で、添えられた油揚げの千切りを散らして違った味を楽しむのが通?の隠しワザだ。

 聞くところによると、そもそも深川めしというのは新鮮なアサリのむき身をざく切りにしたネギとともにしょうゆだしでさっと煮て、ご飯に回しかけて食べるものだそうで、それをうまく駅弁に仕立て上げたというわけだ。

 駅弁の歴史をさかのぼると明治時代の竹の皮に包んだにぎり飯とたくあんに行きつくらしい。

 大きな駅にC型蒸気機関車がけん引する列車が到着すると駅弁売りが首で支えた木箱に駅弁を山と積んで売り歩き、窓を開けて呼び止めてお茶の入った陶器製の小さな土瓶とともに買い求めた時代を知っている私としては、弁当が駅の売店売り、土瓶入りのお茶がペットボトルに変わっても、駅弁は列車の旅の重要なアイテムの一つだ。移動水族館の打ち合わせのために出掛ける各地への出張が楽しい理由でもある。

 わがすさみにもイノブタという駅弁にはピッタリの食材があるのだから、ファンとしてはイノブタめし?を作ってもらいたいところだが、まずは一度深川めしを食べてそのインパクトの大きさを感じていただきたいものだ。

 (エビとカニの水族館館長)

写真東京出張で買うのが楽しみな深川めし

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