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(755)海の環境学習館

 「水族館はもうかって良いのう」「給料も上がるやろ」

 最近、いろいろな方からこんな言葉をよく聞かされる。きっと悪気はないのだろうが、私自身はかなりカチンときている。開館以来18年間「日本一貧乏な水族館」という自虐的キャッチフレーズで、時には私の給料を減らしてまでスタッフの給料を払ったこともあるエビとカニの水族館が、ようやく人並みにまで戻せそうな時だけに、余計だ。

 「そんならそのもうけとやらを全部吐き出そうやないか! 予算がなくて造れなかった教室を自己資金で造ってしまおう!」

 かねて遠足や社会見学で来館してくれる子どもたちにレクチャーをしたり顕微鏡をのぞかせたりする部屋が欲しかったのだが、限られた予算ではとても余裕がなかった。もちろんすさみ町にはもうこれ以上無理は言えない。そこでこれからの収支を試算してみたところ、なんとか1500万円までなら資金調達ができそうなので、またまた借金をして別棟の教室を建てることにしたのだ。

 幸い、町も水族館用のイベント広場として空けてあった隣接する町有地の使用を快く認めてくれ、約80平方メートルと狭いながらも鉄骨コンクリート平屋で、床に防水を施して実験もできる教室として設計も出来上がった。

 「名称は“海の環境学習館”でどう?」「愛称も欲しいね」

 教室内の机は、こんなこともあろうかと取り壊す前にキープしておいた旧江住中学校の家庭科教室のものを再利用。演台は音楽室、スクリーンは視聴覚教室、顕微鏡などは理科室のものを整備して使う予定だ。

 「ごめん! 学習室はお金がもうかる施設じゃないからまだしばらくは貧乏から抜け出せそうにないけど、いつかきっとコレが生きてくるから」。今回は私の意地を通させてもらった。

 (エビとカニの水族館館長)

写真【海の環境学習館の完成図面】

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