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(767)病院食

 病院食はまずい! という先入観があった。子どものころ、猩紅熱(しょうこうねつ)で市民病院に入院した時、おかゆと薄味のカレイの煮付けが続いてげんなりした記憶がある。トラウマ(心的外傷)になっていて、少なくともよい印象は持ち合わせていなかった。

 ところが、先日入院したT病院で配食された食事を見てオヤ?と思った。食器が毎回同じようなプラスチック製なのは仕方がないにしても、おかゆとともに私が予想した以上の手の込んだお菜が添えられているではないか。

 確かに過労による目まいと吐き気で北京出張中から帰国するまでの数日間、満足に食事らしい食事はしていなかった。ようやくちょっと食べてみようかという気が起きてきた時期だったから何でもおいしそうに見え、事実おいしく食べられたのだ。これを絵付けの皿や小粋な小鉢に盛ったらとても病院食とは思うまい。まあ日によっては多少の差もあったが、味も薄味ながらなかなかよかった。

 実際、北京から車いすで帰国する際、飛行中は寝ていられるようにとビジネスクラスにしたのだが、隣席の乗客が和食をチョイスしておいしそうに食べているのを見ても気持ちが悪くなっただけだった。しかし、病院では点滴で吐き気止めを入れてもらっているせいもあって、食欲は覚え始めていたのだ。

 「えっ、これ茶がゆじゃない?」

 感激したのが和歌山の伝統食、茶がゆが出た時。多分番茶?で作った茶がゆは普段出てくる白かゆよりもさらに水分が多く、さらさらしていて、素朴な味ながら実にうまかった。正直20年もすさみに住みながら1回しか食べたことがなかったので、濃い緑茶やほうじ茶で作る茶がゆとは比較するべくもないが、故郷の味をまさか病院で味わおうとは思いもしなかった。

 T病院の栄養士さんと調理師さん、ありがとうございました。おいしかったですよ。

 (エビとカニの水族館館長)

【病院で出された茶がゆの夕食】

更新)