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(774)秋の水槽

 「モミジガイってどこにおるねん?」「砂に潜っちゃってますね」「イチョウガニは?」

 「やっぱり砂をかぶって隠れてますね」「なんや、結局秋らしいのは枯れ葉みたいな魚だけかいな」

 どーもすいません! 当初の予定では水槽の底を紅葉(モミジガイ)が覆い、所々にイチョウ(イチョウガニ)が散らばっていて、水面を枯れ葉(ナンヨウツバメウオ)が漂っている…はずだったんですけどねえ。

 秋の気配が海の中にも感じられるようになり、わがエビとカニの水族館でもちょっと秋を感じてもらおうと、特別展示用の水槽を模様替えして「アキさせまへん! 秋の水槽」と名付けた。

 ヒトデの仲間のくせに“カイ”なんて紛らわしい和名がついているモミジガイやトゲモミジガイは、カラーバリエーションがあるにはあるが普通は赤褐色で、紅葉の葉を思わせるには十分だし、イチョウガニは色こそ黄色くないが甲羅の形はイチョウの葉そっくり。また、ナンヨウツバメウオの幼魚は、薄い茶褐色の体が海面を漂う枯れ葉のようだ。もっとも、黒潮に乗ってやって来て夏の日本で成長したナンヨウツバメウオは、冬の低水温に耐えられずに死んでしまうので、以前は死滅回遊魚と言われていたが、現在は季節来遊魚と称されている。

 「秋といえば焼き芋でしょう。イモガイも展示しましょう」

 ん? 焼き芋って確か冬の季語じゃなかったっけ?

 「だって落ち葉を燃やしてたき火をする時にイモを焼きません?」

 まあいいや。サツマイモを収穫するのは秋だし…という訳で、イモガイの仲間のアンボイナも一緒に展示することにした。なるほど飽きまへんわ。

 (エビとカニの水族館館長)

眺めてアキない秋の水槽(すさみ町江住で)

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