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「保全に地元の協力を」 古座高校で講演

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の保全にかかわっている県地域振興課・世界遺産センター主任の七滝高至さん(52)が11月30日、串本町の古座高校で講演し「紀伊山地は広大な自然の中に3つの霊場がある独特な場所。保全には行政だけでなく地元の人の協力が必要。世界遺産登録地に住むという誇りを持ってほしい」と話した。


 古座高校が開いている公開講座「コミュニティー・カレッジ」の4回目。講座は、地域の教育や文化の拠点として再認識してもらうため、一般を対象に8月から始めた。全5回。

 七滝さんは「紀伊山地の霊場と参詣道」の価値や保全について話した。

 1972年、ユネスコ総会で世界遺産条約を採択。日本は92年に受託した。同年から、自然遺産と文化遺産の中間的存在「人間と自然の共同作品」である「文化的景観」という概念が導入された。

 紀伊山地の自然の中に、真言密教の高野山、日本古来の自然崇拝に根差す熊野三山の神道、神仏習合の形をとる修験道の3つの霊場がある独特な文化があり、それぞれの信仰の道が1000年間良好な形で残っている。七滝さんは「紀伊山地の自然の中で、信仰が互いに影響を与えながら、独自に発展を遂げてきた。今も現代人に受け継がれている」と指摘した。

 七滝さんは「文化的景観の保全は地元の協力なしには守れない」と例を紹介。大辺路では民間団体が保全活動をしている。県が認定し、1月からボランティアで保全に取り組む「世界遺産マスター」の活動も期待される。

 世界遺産に登録された面積のほとんどが民有林で、同意を得て保全しているが、トイレの問題やたばこのポイ捨てによる山火事など課題があるという。ハイカーらが靴底に生命力の強い外来種の種子を付けて来たり、ペットを連れてきて逃がしてしまったりする例もあり、今後生態系を変えてしまう恐れもあるため、意識啓発に力を入れたいという。

 保全について、90年ごろまでは建物とその地下資源だけを守ればいいという「重点主義」だったが、「紀伊山地の霊場と参詣道」は中心と緩衝地帯、法規制のない緩衝地帯外も含め、広く面として守っているという。登録地近くの家屋や店舗などを景観に合わせようと整備されている場所もあることを紹介。「建物や名勝地、史跡など、そのものだけでは保全は難しい」と話した。


写真【世界遺産の保全について講義する七滝高至さん(30日、串本町の古座高校で)】

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