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ビジターセンターの構想が難航 市の具体案固まらず

 田辺市が本宮町に計画している観光拠点施設「ビジターセンター」の構想が難航している。「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて2年以上がたち、合併時の「市町村建設計画」にも盛り込まれているが、いまだに具体的な案が固まっていない。「年内には方針を固めたい」とする市に対し、地元では「遅すぎる」という不満の声や施設の内容を不安視する声が出ている。


 世界遺産の登録で、観光客の受け入れや情報発信は重要なテーマになっている。三重県では来年2月に「県立熊野古道センター」が完成予定で、奈良県ではすでに「吉野山ビジターセンター」があるが、和歌山県内にはない。

 2005年5月に本宮町、中辺路町など遺産に登録された地域を持つ田辺市が誕生。合併前に取り決めた市町村建設計画で「世界遺産登録の拠点施設としての機能を有するビジターセンターの整備を行い、登録物件の保存・整備に努める」との項目を盛り込んでいた。

 市政策調整課によると、センターの機能として、熊野古道など世界遺産についての情報発信と学習▽地域特産物の物品販売▽食事スペース―などが考えられるが「建築費や維持管理費など財政的な側面も考えなければならず、どこに、どういう機能を設置するかは未定」という。

 センターを建設する構想もあったが、経費面などから、老朽化が進む「山村開発センター」と、空きスペースが多い本宮行政局が、センター整備の有力候補地に挙がっている。両施設とも同町の中心地で、熊野本宮大社近くにある。

 山村開発センターは築30年以上で、ホールや研修室、実習室がある。敷地面積は9371平方メートル。現在は地元公民館のサークル活動で使ったり、作品展示などの催しに使われたりしているが、雨漏りもひどいという。

 市政策調整課は「本宮大社周辺には、広い駐車場もないため、山村開発センターの敷地を有効に使いたいという考えもある」という。

 本宮行政局(3階建て)は、1階に住民生活課、2階に総務課などが入るが、空きスペースが多く、その活用も課題になっている。

 1階には、世界遺産の保存と活用拠点として、県が昨年4月にオープンした世界遺産センターがあり、ビジターセンターとどう連携するかも課題だ。世界遺産センターでは職員6人体制で保存管理や情報発信などの業務をしており、来年3月末までに職員常駐の案内カウンターや展示パネルなども新設する。

 県地域振興課は「ビジターセンターと世界遺産センターの一体的な整備は市にも要望している。市の方針が決まれば合わせていきたい」と話す。

「考えはっきりして」

 地元住民の多くは、旧町村単位の基盤整備に使われる「地域基盤整備基金」をビジターセンター建設に充ててほしいと考えており、同センターへの期待は大きい。

 本宮地区自治会代表の松本栄夫さん(71)は「どこに整備するのか市の考えは何度も変わるし、なかなかはっきりしたものが出てこない」と不満を漏らす。

 「熊野本宮語り部の会」の坂本勲生会長(78)は今年9月、真砂充敏市長に対し、熊野の研究や観光交流、古道の保全管理の拠点としての同センターを早く造ってほしいと要望した。「三重県では立派な施設ができるのに遅れている。せっかく造るなら中途半端なものではなく、熊野古道を中心とした世界遺産の継承に役立つセンターにしてほしい」と訴える。


写真【ビジターセンターの整備候補地に挙がっている「山村開発センター」(田辺市本宮町で)】

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