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古道の枝切られる 大辺路・長井坂で十数カ所

 世界遺産に登録されているすさみ町内の熊野古道大辺路「長井坂」で、古道上に張り出したシイやネズミモチなどの枝が十数カ所、無断で切り払われていたことが30日までに分かった。長さ1メートルを超す枝もあった。付近はミツバツツジが茂り、写真撮影で訪れる人も多い。撮影の邪魔になった枝を切った可能性もあり、「もしそうなら身勝手で残念な行為」と古道の保全に協力している住民らは憤慨している。


 長井坂の「和深川上り口」の東約1・3キロから300メートルの間で、土を固めて土手状の路盤にした「段築」と呼ばれる古道が残っている付近。古道の保全と整備に協力している語り部の新谷洋一さん(66)=同町和深川=が見つけた。

 ミツバツツジの開花状況を確かめようと、28日午後1時ごろ通りかかった際、切り落とされたばかりとみられる枝が古道のあちらこちらに落ちていた。確認できただけで十カ所以上あった。

 古道と古道沿いの林の境付近に生えている木で、古道に覆いかぶさっているような枝が切られていた。長さは最長で1・3メートルの枝もあった。数十センチから1メートルまでが多かったが、切り口の状態から、せん定ばさみなどの刃物で切ったとみられる。

 新谷さんによると、付近はミツバツツジが多く、昨年の同時期にはアマチュアカメラマンでごった返したという。今年は花がここ数年では一番少なく、昨年のような光景は見られない。

 ただ切り落とされた枝は、古道の通行を妨げるような場所にあったものではないという。県世界遺産センターは「枝が垂れて頭に当たるような場合、仕方なく切るケースがある。今回は誰が何の目的で切ったのか分からず判断のしようがないが、どういう場合にせよ管理者への連絡は不可欠」と話している。

 管理する町教委は「3月に大辺路ウオークの準備で枝を切りたいと住民から相談を受け、手入れしてもらったばかり。その後、どこからも相談を受けていない」と驚いている。同町の原口増夫教育長は「事実なら、たいへん残念な行為。2度とこういうことのないよう、認識を改めてほしい」と話した。

 長井坂は和深川から見老津に至る4キロ余りの古道。大辺路では同町―白浜町の仏坂、白浜町の富田坂とともに2004年に世界遺産に登録された。

 新谷さんは「古道を歩く人のために眺望を確保する目的でかなり離れたところの枝を切る場合でも、町や県と相談しながらやっている。身勝手な行為は許されない」と憤っている。


写真【切り落とされた枝を手にする新谷洋一さん(29日、すさみ町の長井坂で)】

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