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竹林広がり被害深刻 熊野古道や神社の森

 紀南地方で世界遺産の熊野古道や天然記念物になっている神社の森に竹林が侵入し、害を及ぼしている。白浜町の大辺路「富田坂」では、イノシシがタケノコを掘るため、大きな穴が開いたり、石畳が動いたりしている。町は「このままでは貴重な文化財が壊れてしまう」と本年度から本格的な対策に乗り出す。


 町教委によると「富田坂」沿いに竹が茂って古道内に地下茎が侵入。春になるとタケノコが生え、目当てにイノシシがあちらこちらを掘り返している。町教委は熊野古道を歩く人の安全を考え、古道の周囲や中に入ってくる竹を定期的に伐採しているが、イノシシの被害を食い止めるには至っていない。

 このため町は、世界遺産に指定された古道(約100メートル)を修復するため、2007年度予算に調査費約220万円(半額国庫補助)を計上。専門家を交えた委員会をつくって修復方法やイノシシ対策を考える。本格的な修復は08年度になる見込み。

 町教委は「古道に地下茎が入ってこないようにするなどの対策が必要。予算的に厳しい中、文化財を将来に残すため努力しないといけない」と話している。

 このほか、神社の森でも竹による侵害が見られる。県自然環境研究会会長の玉井済夫さん=田辺市湊=によると、さまざまな文化財への侵入が始まっているという。ホルトノキを中心とした森林を形成し、県の天然記念物に指定されている白浜町の「熊野三所神社の社叢(しゃそう)」や、貴重なタブ林として田辺市の天然記念物に指定されている「目良八幡神社の森」などでも確認されている。「今はまだ軽微だが、放置するとやがて貴重な森が壊れてしまう」と心配している。

 県林業試験場(上富田町生馬)によると、竹林の広がりを止める方法として効果があるのは、数年間続けて春先に柔らかい竹を折る▽薬剤を投与して地下茎を枯らす▽深さ50センチほどを板で仕切って侵入を防ぐ―などが考えられるという。

背景に竹の需要減

 紀南では、タケノコが高価な食材だった時代に栽培地が広がった。その後放置したため、竹が野生化して里山などに侵入している。以前は、竹が祭事に使われたり、建築部材に利用されたりして需要が多かったが、現在は生活形態が変わったことで必要性が薄れ、タケノコを採る人も少なくなっている。竹は1日に1メートル伸びるものもあり、地下茎は1年に5メートル広がると言われている。


写真【あちらこちらにイノシシの掘った跡が見える富田坂(白浜町富田で)】

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