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世界遺産登録3周年記念しシンポ

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録3周年を記念するシンポジウムが6月30日、大阪市北区の朝日新聞ビルであった。宗教人類学者の植島啓司さんと奈良県吉野町の金峯山寺宗務総長・田中利典さんが対談。修験道を事例に、日本人の宗教観と紀伊山地のかかわりについて語った。

 朝日カルチャーセンターと三重県の共催。

 植島さんは「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録について、宗教者としてどう考えるか田中さんに尋ねた。田中さんは「紀伊山地は違う宗教が混在しており、それが現在も道でつながっている。多様な宗教観が自然とともに息づいていることを、世界的に訴えることができた」と答えた。

 田中さんは、伝来した仏教が日本で浸透した背景に、草や木に神が宿ると考えるなど、多様なものを受け入れる日本古来の宗教観があったことを指摘。仏教と神道が寄り添って発展した結果、修験道が生まれたと説明した。

 加えて、自然観や肉体観を重視する修験道の特徴について解説。「修験道は、仏教と神道の2つの宗教の中にそれぞれ通じるものがあり、1つの宗教として語ることは難しい」と話した。

 また、植島さんは、一神教を目指した明治時代の神仏分離令で修験道が弾圧されたことに触れ、「行政の介入が、その後の日本の宗教観を混乱させたのではないか」と質問した。

 田中さんは「だからこそ、『多様性』という日本古来の宗教心につながるこの世界遺産が、日本人にとって、また世界の人々にとって価値があるものなのだろう」と話した。


写真【日本人の宗教観について対談する田中利典さん(写真左)と植島啓司さん=大阪市北区で】

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