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絵解きで考える熊野参詣 三山の曼荼羅を解説 世界遺産センター

 田辺市本宮町、県世界遺産センターで1日、熊野三山の曼荼羅(まんだら)の絵解きがあった。センター職員の蔭地由香さんが解説した。世界遺産登録記念週間(1〜7日)の催し。


 富士山など各地の信仰を示す曼荼羅のうち、現在残っている3割は那智山を描いたもので本宮と新宮の曼荼羅は見つかっていない。今回は室町時代に描かれた那智参詣曼荼羅と、昨年新たに制作した新宮と本宮の曼荼羅の絵解きをした。那智参詣曼荼羅に2人組の巡礼者が描かれているため、新宮と本宮のものを制作する際もこの巡礼者を描いた。

 絵解きによると熊野本宮参詣曼荼羅には、月が3つ一緒に描かれている。約2000年前、熊野の神がこの月の姿で大斎原に降りたという。訪れた人がありがたがって伏して拝んだという「伏拝王子」に、和泉式部が描かれており、熊野の神が参詣を促した話を紹介した。世界遺産に登録された温泉「つぼ湯」の近くには小栗判官と照手姫の姿が描かれ、また、最も新しい時代の人物として湯峯出身の高僧山本玄峰老師も描かれていると話した。

 新宮参詣曼荼羅には、本宮から船で新宮へ向かった2人組の巡礼者が、熊野川下流の河原に描かれている。川には熊野の神が昼食を取った昼島や、御船祭りの中心になる御船島などがあり、熊野信仰と深いかかわりがあったことを説明した。

 那智参詣曼荼羅では関所の前に貧しくて通行料が払えない人々が描かれている。この人たちは裕福な人に功徳として金銭を恵んでもらい、関所を越えたという。那智の滝は、花山法皇の参籠(さんろう)や文覚上人の荒行を紹介し、滝が神秘的な力や生命力を宿していると考えられていたと話した。

 熊野本宮参詣曼荼羅にも描かれた牛馬童子が、壊されてしまったことを取り上げ「世界遺産は観光名所ではなく、先人から受け継いだものを守り、次の世代に渡すことが重要。その意義をしっかりと考えてほしい」と呼び掛けた。


写真【熊野三山を巡る様子を曼荼羅の絵で解説する(田辺市本宮町の県世界遺産センターで)】

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