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活用や保全で論議 世界遺産 登録10周年報告会 新宮

 世界遺産登録10周年を迎えた「紀伊山地の霊場と参詣道」について考える記念報告会(熊野歴史研究会主催)が23日、和歌山県新宮市春日の春日教育集会所であった。文化財担当者や研究会の会員ら約30人が参加し、世界遺産に登録されている熊野古道などの魅力をどのように伝え、生かすかを論議した。


 新宮市、那智勝浦町、田辺市本宮町にある熊野古道などの現状や課題について報告した後、今後の活用や保全について考えた。

 新宮市教育委員会学芸員の南由起さんは2011年にあった熊野速玉大社の森の無断伐採を話題にし「(関係した人は)森が世界遺産であると知らなかったと言った。世界遺産を保全するため、このように興味がない人に対しどうすればいいのかが課題」と話した。世界遺産への追加登録については「観光面だけでなく、住民の心の中に平和の気持ちを高めるためにも必要」と訴えた。

 熊野三山協議会幹事の山本殖生さんは那智山について「山岳霊場の雰囲気が残り、熊野三山の中でも特別な感じがする。しかしたくさんの宿坊があった昔と比べるとずいぶんと変貌したのが残念。滝の近くも昔とは変わってしまっている」。大雲取越に林道がついたことや大門坂に落書きがあることも挙げ、活用と保全の在り方を考える必要性を強調した。

 県世界遺産センター主任の坊信次さんは、歩く人のけがの危険性について「楽しく歩けるハイキングコースと思っている人が多い。山道を歩くということをしっかり伝える必要がある」と指摘。トイレや駐車場などの整備を求める声があることも触れ、「人は神秘的な世界を求めてやって来る。景観を損ねないようにしなければいけない」と安易な整備にくぎを刺した。

 研究会の会員らも交えた意見交換会では、新宮市の熊野川河口近くにある蓬莱山の樹木がウのふんによって枯れ始めたこと、熊野川の濁りなどが話題になった。

 田辺市中辺路町の岩神王子周辺の熊野古道が地滑りの危険性があることで通行止めになっていることも話題に上がり、会員は「迂回(うかい)路は厳しい道で、旅行会社がそこのルートを歩く企画を敬遠してしまい、観光的にマイナス。対策が必要だ」と訴えた。大雲取越や高野坂などで道が傷んでいることも指摘し「将来、安全に歩けるか心配だ」と話した。文化財担当者は「守るという情熱を持ち続け、風化させないように続けることが大事だ」と強調した。


写真世界遺産の活用や保存について意見交換する参加者(23日、和歌山県新宮市で)

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