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来訪者増加で「良かった」 高原地区で住民意識調査 世界遺産10周年

 世界遺産登録10周年を節目に、地域がどのように変わったかを考えようと和歌山県田辺市中辺路町のNPOが熊野古道が通る同町高原で住民意識調査を実施した。世界遺産登録したことを全回答者が「良かった」と評価。理由に来訪者の増加を挙げ、特に女性が来訪者との交流を歓迎していることが分かった。

 まちづくりのNPO囲炉裏(倉尾弘大代表)が高原地区と紀南の市町村や和歌山大学などでつくる「きのくに活性化センター」とで実施。高原の全66人を対象に調査票を配布、41人(62%)から回答を得た。男女別では男性20人、女性21人。

 世界遺産登録の是非を5段階評価で問う質問では「非常に良かった」が18人(44%)、「良かった」が23人(56%)。理由として「人が多く訪れるようになり、にぎわいが生まれた」が28人(68%)で最多だった。男性は「道路・施設の整備」「経済効果」など理由が分かれたが、女性は21人中18人が「にぎわい」を挙げた。

 世界遺産登録後が「変わった」と実感している人は25人(61%)。男性のうち半数は「変わらない」や「分からない」を選択したが、女性は7割が変わったと実感。変わった内容として全体の6割が「観光客との交流」と答えた。

 このほか、世界遺産登録後に高原に移住した人は9人で、実際に地区で生活している人の5人に1人を占めていた。

 高原での住民意識調査は、世界遺産登録直後の2004年11〜12月にも実施していた。その調査と比較できる箇所を踏まえ、調査の集計と考察を、活性化センター事務局長で和歌山大学南紀熊野サテライト客員教授の鈴木裕範さん(65)=和歌山市=が担当した。

 10年前に「観光客に地元を案内する考えはある」と答えたのが男性の2倍だった女性は、今回も世界遺産効果を来訪者の増加に見いだす傾向が強く、自身の変化でも観光客との交流や産品開発・販売を挙げていた。鈴木さんは「10年前の女性の期待感や行動意欲が実際に現れた」とみている。

 鈴木さんは「調査では世界遺産登録を全員が評価し、経済効果より精神的効果に見いだしていると分かった。将来高原に住み続ける意思を問うと、2割が『分からない』とし、過疎と高齢化で生活基盤の不安をうかがわせる数字もあった。一方、10年前に比べ移住者や30〜40代が増え、増える観光客に向けた宿泊施設などビジネスの芽も生まれており、希望を抱かせている」と話している。

 意識調査の結果は冊子にまとめるほか、NPOが29日午後1時から高原集会所で開く世界遺産登録10周年記念のシンポジウムで紹介する。


写真高原地区の住民意識調査の内容について話し合うNPO囲炉裏のメンバー(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)

更新)