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英旅行会社が熊野古道沿いに事務所 外国人客を現地でサポート

 和歌山県田辺市中辺路町近露の熊野古道沿いに、イギリスの旅行会社が現地事務所を開設した。県によると、海外の旅行会社が県内で事務所を構えるのは初めてという。地元住民や観光関係者らは、海外からの旅行客が一層増えることに期待を高める。


 現地事務所を開設したのは「奥ジャパン」。2005年にイギリスで設立された日本行き専門の旅行会社で、約3年後に京都市内に営業所を開設した。

 代表はマット・マルコムさん。18歳のころ、世界一周で日本を訪れたことで気に入り、以来、何度も足を運ぶうちに「日本の本当の魅力は奥地にある。そんな魅力を世界の人に知ってもらいたい」と思ったという。

 企画するのは歴史街道を歩くツアー。ヨーロッパからの個人や団体客を対象に中山道のほか、東北や九州、近畿などに残る歴史遺産の道を案内している。

 熊野古道を歩くツアーは5年前から企画。「世界遺産の巡礼の道という魅力だけでなく、その道がつながっていて、宿泊施設が近くにある上、都市部に近いことからアクセスが良い」として人気があり、来訪者は年々増えているという。

 このため現地でのサポートを充実させようと、現地事務所を中辺路街道の中間地点である近露地区に開設することを決めた。

 場所は丹田佳秋さん(68)=大阪府和泉市=所有の元店舗。江戸期に紀州藩の「伝馬所」があった場所で、約20年前までは酒屋、世界遺産登録をきっかけに土産物店になっていたが、3年前から閉まったままだった。丹田さんは「閉めたままで地域に迷惑を掛けていた。有効利用してもらい、活性化のお役に立てればありがたい」と話す。

 常駐するスタッフは前田八重さん(65)=田辺市中辺路町栗栖川。英語講師で、旧中辺路町時代に役場の臨時職員として観光の仕事に携わったことがある。繁忙期にはガイドアシスタントも加わる。

 ガイドを付けない旅行客もおり、悪天候やけが、病気などの際にサポートするほか、荷物を宿まで届けるなどのサービスもする。このほか、インターネットを使って熊野の魅力を国内外に発信し、将来的にはIターンのサポートもする計画。京都営業所のマネジャー、川口浩司さんは「現地に事務所があれば、訪れた人は安心できると思う。奥ジャパンの客だけでなく、ほかの国内外の客もサポートしていきたい」。前田さんは「ここが店だったころ、地元の人が多く集まってきたという。そんな地元の人が立ち寄ってくれる事務所になればと思う。地域に根差した旅行会社となり、地域の人たちと一緒になって古道を盛り上げていきたい」と話す。

 現地事務所の開設に地元は歓迎する。中辺路町近野地域のまちおこし団体「ちかの平安の郷推進協議会」の久保智彦代表(72)は「巡礼の道として外国人も訪れてくれることで、寂れる一方だった地域が活気づき、よみがえってくればありがたい」。

 海外からの観光客誘致をする「田辺市熊野ツーリズムビューロー」は「熊野の魅力を認めてくれてありがたい。これをきっかけに国内外から多くの人が訪れてくれればと思う」と期待する。


写真イギリスの旅行会社が熊野古道沿いの元店舗を改装して開設した現地事務所(和歌山県田辺市中辺路町近露で)

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