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削られた熊野古道 「傾斜きつく歩くの怖い」

 和歌山県那智勝浦町市屋で、工事によって途切れたために新たに整備された熊野古道が、歩く人たちから「傾斜がきつく、通るのが怖い」という声が上がっている。近畿地方整備局紀南河川国道事務所は本年度中に柵を設置する計画だが、道そのものは変わらず、古道を保全する住民団体も頭を悩ませる。


 世界遺産への追加登録が見込まれる熊野古道大辺路街道の「二河峠」近くの古道。世界遺産の登録地や追加登録の候補地でもないが、大辺路街道として歩く人に利用されている。

 同事務所によると、那智勝浦町内の自動車専用道路「那智勝浦新宮道路」の建設で出た土砂の処分のために2014年4月から始まった工事で、周辺の山林を切り開いた。その際、山の斜面にあった古道を約20メートルにわたって削り取った。町によると古道は町が管理する山道で、町が山道の場所を間違って知らせたことで発生したという。

 対策として15年4月に仮設の道を付けたが、高さが約15メートルあるコンクリート吹き付けの斜面に簡易階段を使っての道で、歩く人から「階段に耐久性がないだろうし、通るのが怖い」という声が上がった。そのため同事務所は計画を早めて5月に新たな道を整備した。

 延長約20メートルで、高低差約5メートルの上り下りの傾斜がきつい道となっている。ロープがあるものの、危険性を指摘する声が相次いでいる。

 熊野古道を保全する「なちかつ古道を守る会」の太田耕二代表(71)によると、今春にあったウオークイベントの際にも、参加者から「怖い」という声があり、手を取って補助をしたという。

 同事務所は対策としてロープに代えて柵の設置を計画している。その後は「現場の声を聞いて対応したい」としている。

 町は「二河峠が世界遺産に追加登録されれば、この道を歩く人が多くなるかと思う。安全に歩けるようにしなければならない」と話す。しかし、新たに迂回(うかい)路を設けるのは困難とみられ、太田代表は「山道なのである程度は仕方がないが、ここは確かに怖い。しかしさらに迂回となれば大掛かりになるだろう」と複雑な表情をみせる。


「通るのが怖い」と声が上がっている古道の迂回路(和歌山県那智勝浦町市屋で)

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