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台風被害から3週間、通行可能で「ほっ」 熊野古道「滝尻―本宮大社」

 3連休が始まった15日から、8月下旬の台風被害で寸断されていた熊野古道中辺路の滝尻王子(和歌山県田辺市中辺路町)―熊野本宮大社(同市本宮町)が通して歩けるようになった。宿泊のキャンセルといった影響も出ていたことから、観光関係者が「ほっとした」と胸をなで下ろしている。

 滝尻王子では15日、午前8時半ごろに到着した路線バスに乗って訪れた、外国人ら十数人が熊野古道を歩き始めていた。

 オーストラリアから訪れた女性(55)は「5日間かけ、本宮を経由して那智まで歩く予定。すごく楽しみ」と笑顔で話した。

 滝尻王子前で茶屋を営む並木真弓さん(40)は「今日は午前7時半ごろに到着したバスでも結構人がいた。朝から人が歩き始めるのは久しぶりだし、リュックを背負った人を久々にいっぱい見た」と喜んだ。

 台風20号では8月23日夜から24日未明にかけて暴風を伴う大雨となり、熊野古道の滝尻王子―熊野本宮大社では各地で道が崩れるなどの被害が発生し、高原―牛馬童子口バス停と小広王子―発心門王子が通行できなくなった。このため田辺市は、約10メートルにわたって崩れた小判地蔵(中辺路町大内川)近くの古道沿いに迂回(うかい)路を設けたり、一部林道を歩いてもらったりするなどし、被害発生から約3週間で、この区間を通行できるようにした。

■「早い復旧ありがたい」

 田辺市と市議会に観光資源の早期復旧や誘客支援を求める要望書を5観光協会とともに提出していた市熊野ツーリズムビューローの多田稔子会長は「早い復旧でありがたいの一言。台風の後、歩けるかどうかの問い合わせが殺到し、答えに苦慮していた。これで、つながって歩けることを自信を持って伝えることができる。宿や弁当、語り部のキャンセルにも歯止めがかかり、地域経済への影響も最小にとどまったと思う」と語った。

 同市中辺路町野中で宿泊施設を営む宮原正大さん(42)は「ありがたい。うれしい」と第一声。「熊野古道が通れないからと、キャンセルをされたお客さんもいらっしゃった。この時季は、サンティアゴ巡礼道を歩いてから共通巡礼を目指して意気込んで来られる方が多い。通れるようになってほっとしている」と話した。

 古道を歩く観光客を案内している田辺市中辺路町の「語り部の会熊野古道中辺路」の安江樹郎会長(75)も「たくさんのお客さんにルートを変えたり、延期をしたりしてもらっていた。9月の終わりから10月に入るとどっとお客さんが増えてくるので、本当に良かった」と喜んだ。

 一方、道が崩れるなどして通行できない状態が続いている田辺市上野から同市中辺路町に続く「潮見峠越」と、湯の峰温泉に至るルートとして人気が高い同市本宮町の「赤木越」については、復旧方法を検討している段階。市観光振興課は「できるだけ早く復旧させたい」と説明する。

 潮見峠へ至る田辺市長野の熊野古道沿いで休憩施設「ひるね茶屋」を営む宇杉一治さん(84)は「長尾坂を上って潮見峠へ行きたいという人は多い。この間から、歩くのを取りやめた団体客も出ている」と早期復旧を求めている。


写真【熊野古道を歩くために滝尻王子を訪れた外国人観光客ら(15日午前9時ごろ、和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)】

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