和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年12月04日(土)

絶えない落書き「やめて」 白浜の千畳敷、魅力再確認の動きも

ジオサイトとしても貴重な千畳敷。和歌山県白浜町を代表する観光スポットでもある(2020年12月撮影)
ジオサイトとしても貴重な千畳敷。和歌山県白浜町を代表する観光スポットでもある(2020年12月撮影)
「2020」と読める落書き。イニシャルとみられるものも多い
「2020」と読める落書き。イニシャルとみられるものも多い
 和歌山県白浜町の名勝・千畳敷で、岩を削る落書きが後を絶たない。罰則規定もある町条例が定める禁止行為で、町は「絶対にやめて」と呼び掛けている。一方、落書きの存在を機に、千畳敷の魅力を改めて知ろうと動きだす人も出てきた。「貴重な存在だと認識し、大切にしようと思えるように」との考えからだ。


 イニシャル、相合い傘、ハートマーク……。千畳敷を歩いて回ると、多数の落書きが目に入る。「2020・11・10」など、最近削られたとみられるものもある。

 「ひど過ぎる」。町内在住の古谷修さん(73)は昨年12月上旬、会員制交流サイト(SNS)に思いを写真とともに投稿した。自身にとって千畳敷は「景色が美しく、白浜で最も味のある場所」で、趣味の写真撮影も兼ねて週に数回は訪れる。落書き中の若者らを見掛ければ、注意することもあるという。

 古谷さんは「声を掛けると反抗する人はおらず、皆がすぐやめる。軽い気持ちの人が多いのだろう」と話し「例えば案内人を置き、落書きの注意も併せてできるようにするのも一手ではないか」とアイデアを提案している。

 古谷さんの投稿を見て、町内在住の農業、遠藤賢嗣さん(34)は千畳敷〝ツアー〟を企画した。「まずは千畳敷のことをしっかり知り、大事にしたいという思いを共有して『そんな場所での落書きは駄目』という考えにつなげられたら」と考えたという。

 このほどあったツアーで、遠藤さんは呼び掛けで集まった人とともに、ジオパークガイド築山省仁さん(65)から成り立ちなどについて聴いた。遠藤さんは「まず地元の人が魅力を知らないと、観光客にも勧められない」と話す。

 千畳敷(約4ヘクタール)は、波の浸食でできた平らな海底が隆起して段丘になった地形。町を代表する観光スポットであり、吉野熊野国立公園でもある。生痕化石なども観察できる貴重な存在だが、砂岩層は比較的軟らかく、石などで削れてしまう。

 落書きを防ぐため、町は入り口に看板を設けているほか、午前9時~午後6時には1時間ごとに音声をスピーカーから流している。町条例では「損傷や汚損、植物や土砂石類の採取」を禁止行為とし、違反者は10万円以下の罰金に処すると定めている。