和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年11月21日(木)

「就職難は突然に」

 衣替えの季節。職場ではノーネクタイのクールビズが定着し、白浜町役場やJR白浜駅ではアロハシャツで来庁者や観光客を迎える。しかし都会では、紺のスーツに身を包んだ若者の姿が目に付く。来春採用の大学生の就職活動が解禁されたからだ▼正式な解禁は6月1日だが、今年は実質的に就職活動が前倒しされている。すでに就職希望者の5割が内々定を得ているという民間の調査結果もある▼12年前の秋、大学院進学を希望していた大学4年生の娘に方向転換を勧めた。当時、日本経済はバブル崩壊に伴う不況から立ち直り、企業の採用意欲は旺盛だった。就活には遅いタイミングだったが「こんなにいい時期はそう長く続かない」と強引に説得した▼その1年後、米国の大手金融機関リーマンブラザーズが破綻して世界を同時不況が襲い、再び就職難の時代が訪れた。もし大学院に進んでいたら希望の職には就けなかっただろう▼バブル崩壊やリーマンショックなど、たまたま就職時期に不況が重なり正社員になれなかった世代には、その後も不安定な働き方が続く。厳しい経済環境に置かれている人も少なくない。その救済が課題になり、政府も対策に乗り出した▼地方に目を向ければ、業種を問わず人材不足は深刻だ。都会のような利便性はないが、生活費は安いし、空き家を利用すれば住居もある。それらを生かして官民が知恵を絞れないかと考えている。(長)