和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年06月16日(水)

かつらぎ町の養豚場で豚熱 和歌山県内で50年ぶり

養豚場での豚熱発生を受け、対応を確認する対策本部会議(27日、和歌山県庁で)
養豚場での豚熱発生を受け、対応を確認する対策本部会議(27日、和歌山県庁で)
 和歌山県かつらぎ町の養豚場で飼育する子豚6匹が、豚やイノシシの伝染病「豚熱」に感染していたことが26日に判明した。県は27日、対策本部会議を開き、この養豚場が飼育する290匹すべてを殺処分することを決定。県職員延べ600人体制で作業し、消毒などを含め31日に措置を完了する予定という。県内の養豚場での発生は1971年以来50年ぶり。

 豚熱は、岐阜県の養豚場で2018年9月に確認されて以来、感染が広がっている。出荷を受けた豚の感染が確認された大阪、滋賀の2府県を除き、和歌山県は11県目、62例目となる。

 県によると、養豚場から24日に子豚1匹が衰弱していると連絡があり、県紀北家畜保健衛生所が25日に立ち入り検査したところ、2匹の衰弱を確認。これを含む子豚6匹を遺伝子検査し、26日に陽性が判明した。東京都にある動物衛生の研究機関「農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門」が同日、精密検査し、6匹の陽性を確かめた。

 養豚場は6匹とも1月8日にワクチンを接種していたが、抗体の効果が上がる前に感染したとみられる。野生イノシシから、ネズミやイタチなどの小動物を介して感染した可能性があるという。かつらぎ町や紀の川市など周辺市町では昨年10月以降、死んでいたものを含め、野生イノシシ22匹の感染が分かっている。

 殺処分は27日午前9時15分に開始し、24時間で完了の見込み。農場主が所有する町内の土地に埋却し、消毒などを含め31日に措置を終える予定。国の疫学調査チームと県が原因を調査する。

 県内では25戸が豚やイノブタ、イノシシ計約2400匹を飼育している。しかし、昨年6月以降、すべての農場でワクチンを接種しているため、発生農場以外では移動や搬出を制限しない。

 仁坂吉伸知事は「危機感は持っていたが、残念だ。幸い、発見が早いので、他に広がらないよう早期に措置ができると思う。全力を挙げて急いで浄化をしたい」と話した。豚熱は人に感染せず、感染した豚の肉は市場に出ないといい「安心して和歌山の豚を買ってほしい」と呼び掛けた。