和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年10月20日(日)

南漁協への不正支出 田辺市の責任を問う

 田辺市は10日、市内に本所を置く和歌山南漁協への公金支出問題に関する調査の中間報告を市議会全員協議会に示した。田辺、湊浦など5漁協が合併して和歌山南漁協が発足した2007年4月よりも前から、不適切な支出が漫然と繰り返され、市のチェック機能も働いていなかったことを認める衝撃的な内容が記されている。

 この問題が本紙のスクープで表面化したのは昨年5月。以来、市は総務課に専任の職員を置き、帳簿や領収書など約27万8千点の書類を確認。関係者への聞き取りも進めて水産課が担当する事業を調べた。対象期間は、損害賠償の請求権を不法行為から20年と定めている民法の規定を考慮し、1999年度以降を基本とした。

 中間報告によると、市が事業主体になったイセエビ放流事業で漁協側が不正に受給した金額は、2017年度までに約969万円。市が支出した分の4割余り、量にして約1・4トンになる。漁協は調達量を実際より水増ししており、放流に立ち会った市の職員も数量を確認していなかったという。

 さらに市水産課が事務局を担当する市水産振興会による海面環境保全事業では、市職員が水増しした実績報告を作ることで、支出した補助金の3割強に当たる約347万円が過大だったと認定した。

 中間報告から読み取れるのは、公金を受けていた漁協側に加え、支出した市の側にも大きな問題があったということだ。

 イセエビ放流事業では、多い年で、量にして実際と148キロ分もの差があったという。その違いを確認もせず、漫然と見逃していたというのだから驚く。さらに海面環境保全事業では「会の運営費が不足している」との認識から、市職員による不適切な会計処理が引き継がれていたという。

 あきれるばかりだ。市の公金支出を巡っては、これまで何度も問題が発覚し、そのたびに市は綱紀粛正を図り、再発防止を誓っていた。だが、それを無視したように内部では延々と不正が続いていた。それを見逃していた歴代の上司を含めて組織の責任は大きい。

 この日の説明で、市は「公務員としての倫理観の欠如が(問題の)根本にあり、組織としてのチェック体制にも問題があった」との見方を示した。そうした認識があるのなら、これは担当者の不正にとどまらず、組織ぐるみの不正と言われても仕方がないだろう。最終的には、市のトップにまでその責任は及ぶのではないか。

 この問題を調査し、中間報告をまとめた総務部のトップは、この日の全員協議会で「できる限り早く最終報告をし、実効性のある対策を講じる」と語った。当然のことだ。補助金を支給した担当部門にとどまらず、市を挙げて責任の所在を明らかにし、そこにメスを入れなければ信頼は回復しない。

 繰り返して言うが、不正に支出されたのは住民が納めた税金だ。筋の通らない使い方は許されない。市のトップも現場も、そこを肝に銘じてもらいたい。 (N)