和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月19日(金)

キンカン甘くて大きいよ 串本で初出荷

初出荷されたキンカン(9日、和歌山県串本町樫野で)
初出荷されたキンカン(9日、和歌山県串本町樫野で)
 和歌山県串本町樫野で栽培されているキンカンの初出荷が9日にあった。今年は昨年より約1・5トン多い約5トンの収穫が見込まれている。JA紀南串本支所の嶋本勝信さん(49)は「今年は天候の影響で色付きが遅かったが、収穫量は例年並みで実は大きくて甘い」と話している。収穫作業は3月いっぱい続く。

 海に面した温暖な地で栽培されている樫野のキンカンは、100年以上の歴史があり、町木に指定されている。JA職員らが直径3~4センチの実を秀品、優品などに選別して出荷している。今年の初出荷は昨年より12日遅かった。

 嶋本さんによると、生産者の高齢化と後継者不足で収穫量は年々減少。生産者は一昨年まで9戸(90アール)あったが、昨年から5戸(47アール)に減っている。栽培に手間がかかることなどから、新たな生産者が参入する気配はなく、将来いなくなってしまう可能性が高いという。

 この日、樫野にあるJAの加工所に軽トラックで約100キロのキンカンを運び込んだ樫田晃廣さん(88)は、100年以上続くキンカン農家の4代目。「昔はうちだけで2トンぐらい収穫していたが、最近は1トンぐらいになった。年々、仕事がきつくなってきたので、今年で栽培をやめるかもしれない」と話した。

 JA紀南は昨年までキンカンをジャムやジュースに加工していたが、新たな設備投資が厳しいことなどから、今年から加工はしないという。