和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年06月25日(火)

「公務員魂」

 12日付の本紙1面は、田辺市の水産事業に関わる不正支出問題を大きく取り上げた▼トップ記事では19年間にわたるずさんな支出を詳報。その左手の社説「論」では「田辺市の責任を問う」という見出しで問題の根の深さを告発している▼市の報告では「少なくとも19年間にわたり不正な支出があった」「水増し請求を見抜けず、別の事業では市職員が事実と異なる実績報告書を作成して補助金を支給」「同じ期間に市が漁協などに支出した9200万円余りについても、50%程度が不正または不適正であると推認される」などと指摘。真砂充敏市長も「痛恨の極み。心からおわび申し上げる」と謝罪した。当然だろう▼一方で、不正の全貌を暴いたのも市職員である。ことの発覚直後の昨年6月から、特命で専任職員が調査にあたり、市がこの19年間に支出した補助金の流れを追跡。約28万点に上る関係書類と領収書を1枚ずつ照合し、証言を集めて事実関係を明らかにした▼同じ役所の職員が内部の不正を追及する。それはとても難しい仕事であり、側聞するところでは、調査を苦々しく思う人たちからの圧力めいた動きもあったようだ▼それでもくじけず、事実を明らかにしていった。それを支えたのは市民に奉仕する公務員としての使命感であり、上司から寄せられた信頼感だったろう。不正の影に、こうした職員とそれを支えた幹部がいたことは特筆しておきたい。(石)