和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年10月20日(日)

「8代将軍吉宗と麻生氏」

 江戸幕府8代将軍、徳川吉宗(1684~1751)の生活は極めて質素だった。食事は朝夕それぞれ1汁3菜。間食はせず、菓子や果物も召し上がらなかった▼夕食後に酒が出るが、多くは飲まず、焼き物などが出ても手は付けずにお側の者に回される。午後8時には切り上げて一眠りし、周囲の者が寝静まった夜中の0時ごろに起床。その後は眠らず、算木(計算用具)を手に、政治や財政の改革を考えていたそうだ▼それから約300年。為政者の姿は一変した。例えば麻生太郎財務相は先日、金融庁の審議会がまとめた報告書の受け取りを拒否した。そこに「65歳の夫と60歳の妻の世帯では年金収入だけでは毎月5万5千円、30年で約2千万円が不足」とあるのが、政府が「100年安心」としてきた年金制度の揺らぎにつながると考えたのだろう▼だが、受け取りを拒否したら、それで終わりとはならない。たとえ「不都合な真実」であったとしても、それに向き合って対策を考えていくのが国家財政に責任を持つ人間の仕事である▼共同通信の世論調査で、麻生氏がこの報告書の受け取りを拒否したことが「問題」とした人は71%、老後の生活に経済的な不安があるという人も74%に達する。不正規雇用の人たちの不安はさらに大きいだろう▼こういう不安にどう答えるのか。常に国家と住民の暮らしを考え、享保の改革を成し遂げた先人に学ばれたらいかがだろう。(石)