和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年03月29日(金)

日置でコーヒー栽培に挑戦 田辺の青木さん

ハウスでコーヒーの栽培を始める青木孝尚さん(中央)。息子の聖也さん(左)、岡本心都さんがファーム長を務める=13日、和歌山県白浜町日置で
ハウスでコーヒーの栽培を始める青木孝尚さん(中央)。息子の聖也さん(左)、岡本心都さんがファーム長を務める=13日、和歌山県白浜町日置で
 自ら興した建設会社の代表を30年以上務めた和歌山県田辺市の男性が、白浜町日置でコーヒーの栽培に挑戦する。生産から加工、販売までを担うための法人も設立した男性は「いつかは県の名産にしたい」と期待を膨らませている。13日には農地の竣工(しゅんこう)式があった。

 田辺市新庄町の青木孝尚さん(56)は、1989年4月に興した建設会社の代表を昨年6月に退任し、翌7月に農業生産法人「アドバンス・4(フォー)・カンパニー」を設立した。以前の仕事とは全く異なる業界だが「以前から農業には興味があった」という。

 コーヒーの栽培に向け、日置地区の農地(約54アール)を購入。昨秋以降、建設業での経験を生かし、重機を動かして造成した後、今年3月までにハウス3棟(総面積1024平方メートル)を整備。初期投資額は約8千万円に上るという。

 農地は「南紀白浜ファーム」と命名した。若い世代に頑張ってもらおうと、息子の聖也さん(25)、岡本心都さん(23)に〝ファーム長〟を担ってもらう。

 ハウスで育てるのは「ティピカ種」の苗218本。酵素液などを使って耐寒性と成長速度を向上させており、年2回収穫できるという。順調に育てば、今秋ごろには初収穫できそうだという。徐々に量を増やし、5年目には2トン超を収穫するとの青写真を描いている。作業では人手がいるため、雇用も検討する。

 青木さんは「不安はあったが、この事業に懸けた。努力して何とか成功させたい。豆を使ったコーヒーは紀南で味わえるようにしたい」と意気込んでいる。すでに興味を示す小売店や事業所も出てきているという。地元の日置川町商工会とも連携して地域の活性化につなげたいと話す。

 13日の竣工式には約50人が出席した。青木さんは「この場所から新たな話題を全国、世界へ発信できるよう、頑張りたい」と語った。