和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年12月12日(木)

「アジサイと梅雨」

 救馬渓観音(上富田町生馬)のあじさい曼荼羅園で120種、およそ1万株のアジサイが見頃を迎えている。青や紫、ピンク、赤、白など色とりどり、形も装飾花(がく)を付けた花や丸い手まり咲きなどさまざまだ▼アジサイは日本が原産地だが、欧州に渡ったものが品種改良されてセイヨウアジサイとして逆輸入された。新しい品種が次々に生まれ、今ではその数は2千~3千にもなるという▼曼荼羅園を訪ねた日は空模様が不安定だった。散策の途中で雨粒がぽつりぽつりと落ちてきて、やがて本降りになった。桜の花見となればがっかりするところだが、アジサイには雨が似合う。園内のあずまやで雨宿りをしながらしばし風情を楽しんだ▼人の手が加わった華やかな花に対して、山中に自生するアジサイには素朴な味わいがある。渓流のそばに咲くサワアジサイは、装飾花が少なめでつつましい。田辺市中辺路町の林道沿いで出合ったコアジサイの群落ははっとする美しさで、思わず車を止めて見入った。他のアジサイと違い装飾花がなく、小さな普通花が密生してふわふわした玉のように見える▼今年は近畿地方の梅雨入りが遅れており、紀南地方の河川はどこも水量が少ないように見える。農業者にとってはもう少し水が欲しいところだ。こんな年は、梅雨の末期に降る帳尻合わせの大雨が心配される。アジサイが引き立つ程度の穏やかな梅雨であってほしい。(長)