和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月25日(日)

「日残りて昏るるにいまだ遠し」

 昨日の夕方、帰宅しようと社屋を出たら、まだ日は高く、突き抜けるような青空が広がっていた。爽やかな風も吹いている。帰宅を急ぐことはない。少し遠回りして帰ろうと、田辺市の新庄総合公園に出掛けた▼よく手入れされた広い空間に、夏の花が咲き誇っている。とりわけ勢いのあるのはノウゼンカズラ。樹上では折り重なるように咲き、足元には散り落ちた花の数々。近くにはいまが盛りのアガパンサスの青い花が競うように背を伸ばしている▼山裾にはふるさとの思い出につながるカンナの花。子どもの頃、祖母の家にいっぱい咲いていたのを夏休みのたびに写生した。それに手を入れてくれたおじさんの記憶もよみがえってくる▼近くには大きなネムノキがあり、淡いピンクの花が風に揺れている。その花をぼんやりと眺めているだけで、気持ちがやすらいでくる▼再び公園の花壇に戻ると、園芸種の花があちこちに咲いている。ヒマワリは盛りを過ぎているが、タチアオイやグラジオラスはいまが見頃。名前を知らない花も多いが、それぞれが夏の光を浴びて咲き誇っている▼仕事帰りに、花いっぱいの公園をゆっくり散策できるのは、緑に恵まれた地方都市ならではのこと。存分にエネルギーをもらって帰宅したが、まだ日は残り、海辺からまぶしい光を放っている▼「日残りて昏るるにいまだ遠し」。まるで長寿社会の生き方を暗示したような光景だった。(石)